フェニックス市街地コース

フェニックス市街地コースの概要

フェニックス市街地コースは、アメリカ合衆国アリゾナ州のフェニックスに位置する公道サーキットで、1989年から1991年の間にF1アメリカGPが開催されていました。このコースは、主に直線とブラインドでの直角コーナーが続くレイアウトが特徴であり、ドライバーにとって非常にチャレンジングな条件を生み出していました。

開催背景と初開催

1989年に初めてのF1レースが開催された際、異常なほどの猛暑が記録され、タイヤの消耗が激しく、当時としては珍しくレースの時間が2時間を超えた影響から、翌年以降は開幕戦に移されることが決定しました。これに伴い、周回数も減少し、レース運営は改善を図らなければなりませんでした。

注目のレースとドライバー

1990年のレースでは、ミナルディ・コスワースのピエルルイジ・マルティニが予選でフロントローを獲得しました。この成果はミナルディの予選での最高位となり、多くのファンの注目を集めました。また、決勝レースにおいては、ティレル・コスワースのジャン・アレジがスタートからトップに立ち、アイルトン・セナ（マクラーレン・ホンダ）との激しいバトルを繰り広げました。セナが1コーナーで前に出たものの、続く2コーナーでアレジが再び抜き返す場面は、観客にとって印象深いものでした。

タイヤの影響と競技環境

この時のレースでのマルティニやアレジの活躍の一因には、前年にF1に復帰したピレリタイヤが、グッドイヤータイヤに対し、この不利なコース条件において優れたパフォーマンスを発揮したことが挙げられます。タイヤの性能がレース結果に大きな影響を与えたこの事例は、F1の技術競争の一端を示しています。

1991年の変更とレース終了

1991年にはコースの前半部分が改修され、新たにヘアピンと中速コーナーが追加されました。しかし、既に結ばれていた6年の開催契約にも関わらず、この年をもってレースは終了となりました。これ以降、アメリカでF1レースが開催されることは2000年までなかったため、フェニックス市街地コースは短期間ながらもその独自性を誇っていました。

関連情報

このコースのあるフェニックスには、1991年のコース改修と合わせてトーキング・スティック・リゾート・アリーナが建設され、またチェイス・フィールドはターン5から6にかけてのエリアに新たに設けられるなど、モータースポーツ以外にも地域への影響が見られました。フェニックス市街地コースは、F1の歴史における一系列の重要なイベントとして、今なお多くのファンの記憶に残っています。

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