フェネック偵察車

LGSフェネック：現代の偵察用装甲車

LGSフェネック（ドイツ語：LGS Fennek）は、ドイツのクラウス＝マッファイ社とオランダのDutch Defence Vehicle Systems社によって開発された偵察用装甲車です。この車両は、ドイツ陸軍とオランダ陸軍によって、前任の装甲車両に代わって配備されています。フェネックという名前は、キツネに近いイヌ科の動物に由来しており、その軽装甲偵察車を意味する“LGS”（ドイツ語：Leichter Gepanzerter Spähwagen）の略称でもあります。

歴史

フェネックの開発は2000年に始まり、試作車の野外試験が同年4月に終了しました。最初の正式な発注は2001年12月に行われ、オランダ軍は410輌、ドイツ軍は222輌を発注しました。オランダ軍向けの最初の実用車両は2003年7月に納品されましたが、生産を担当していたDutch SP Aerospace社は2004年8月に倒産。その後、Dutch Defence Vehicle Systems社が生産を引き継ぎました。ドイツ軍への納品は2003年12月から始まり、追加発注分により、2020年代の初頭には約300輌が配備される予定です。

ドイツ軍とオランダ軍は、共に国際治安支援部隊（ISAF）にフェネックを派遣し、アフガニスタンでの任務に使用しました。

概要

フェネックは四輪駆動の装輪装甲車として、多様な地形に応じた走行性能を有しています。特に、二輪駆動と四輪駆動の切り替えや、タイヤの空気圧調整が可能で、運用において柔軟性を発揮します。標準型では、車体上部に設置されたリモートウィーポンステーション（RWS）を使い、ラインメタルMG3やブローニングM2重機関銃を運用できます。また、オランダ軍の対戦車型ではイスラエル製のスパイク-MRを搭載しています。

装甲は全周囲を保護し、7.62mm弾に耐えることができる設計となっています。また、オプションで増加装甲を装備することもでき、乗員区画は対人地雷からの防護機能も備えています。さらに、装甲車両にはNBC（核・生物・化学）防護機能を有した空調システムが搭載されています。

フェネックの偵察システムは、赤外線カメラ、CCDカメラ、レーザーレンジファインダーで構成されており、伸縮式マストの先端に取り付けられています。このマストは車体頂点から最大1.5mまで伸び、観測機器は上下左右に旋回できるため、広範囲にわたる状況把握が可能です。

運用国

• - ドイツ
• - オランダ: 2024年時点で185両の偵察型、140両の汎用型、18両の対空型を保有。
• - カタール: 2023年時点で32両を保有。

まとめ

LGSフェネックは、その高い機動性、指揮能力、耐弾性により、現代の軍事作戦において貴重な戦力となっています。各国の軍隊による採用は、その信頼性を物語るものであり、今後の展開にも注目が集まります。

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