クラウス＝マッファイ

クラウス＝マッファイ：ドイツを代表する重機械メーカー

クラウス＝マッファイは、ドイツの重機械メーカーとして、その名を知られています。本社をミュンヘンに置き、長い歴史の中で様々な分野で活躍してきました。

歴史

その起源は、19世紀に遡ります。ゲオルク・クラウスが1866年に設立したクラウス社と、ヨーゼフ・フォン・マッファイが設立したJ.A.マッファイ社の2つの機関車メーカーが、世界恐慌による経営難を乗り越えるため、1931年に合併し、現在のクラウス＝マッファイが誕生しました。

J.A.マッファイ社は、王立バイエルン邦有鉄道S3/6型蒸気機関車の設計・生産を手がけ、オリエント急行やラインゴルトといった著名列車を牽引し、その名を世界に轟かせました。一方、クラウス社は、地方私鉄や軽便鉄道、日本陸軍鉄道連隊向けに小型蒸気機関車を数多く輸出し、日本の鉄道史にもその名を刻んでいます。日本へは1913年に鉄道院が勾配線用強力機関車として4100形蒸気機関車を輸入したのが最初です。

合併後、同社はドイツ国鉄向け機関車の生産に携わり、鉄道車両部門の分社までその役割を果たしました。近年では、高速鉄道ICEの車両生産も手がけています。

磁気浮上鉄道の開発

1960年代からは、西ドイツの研究委託を受け、吸引式磁気浮上鉄道であるトランスアーバンの開発を開始。1979年代初頭には走行試験に成功し、現在でもトランスラピッドの開発の中心的な役割を担っています。また、日本で開発が進められ、実用化されたHSSTの基礎的配置のライセンス元としても知られています。

多岐にわたる事業

設立当初は蒸気機関車を主力商品としていましたが、装甲車や戦車なども製造していました。第二次世界大戦後は一時的に兵器製造を禁止されましたが、現在はプラスチック製品の製造に欠かせない射出成形装置の製造で知られています。日本の日本製鋼所は、クラウス＝マッファイからプラスチックの押出成形の技術提供を受けました。1963年からは軍事兵器生産が再開され、レオパルト1、レオパルト2などの戦車や、ゲパルトなどの自走砲の生産も行っています。

1986年には、プラスチック装置関連部門と車両・兵器部門が分社化。兵器部門は1999年にヴェクマン社と合併し、クラウス＝マッファイ・ヴェクマン（KMW）が設立されました。鉄道車両部門は1999年にジーメンス・クラウス＝マッファイとなり、2001年にはジーメンスに吸収されました。

2016年には、中国化工集団公司などの投資家連合に買収されています。

近年の動向

近年では、中国の企業に買収されるなど、その経営体制は変化していますが、長年培ってきた技術力と実績は、今もなお様々な分野で活かされています。特に、プラスチック加工機械の分野では、世界的なリーディングカンパニーとしての地位を確立しており、その技術は日本の産業界にも大きな影響を与えています。

クラウス＝マッファイは、その長い歴史の中で、時代の変化に対応しながら、常に新しい技術の開発に挑戦し続けてきました。その姿勢は、これからも変わることなく、世界の産業界に貢献していくことでしょう。

年表

1838年 - J.A.マッファイ社がミュンヘンに設立。
1866年 - クラウス社がミュンヘンに設立。
1908年 - S3/6形蒸気機関車の生産開始。
1931年 - クラウス社とマッファイ社が合併し、クラウス＝マッファイ社が設立。
1934年 - ハーフトラックの製造を開始。
1937年 - 最初の戦車を受注。
1946年 - バス生産を開始。
1956年 - 最後の蒸気機関車を出荷。
1957年 - 世界初の全自動大型射出成形機を開発。
1974年 - トランスアーバンの走行試験に成功。
1986年 - プラスチック装置部門と車両・兵器部門が分離。
1999年 - 車両・兵器部門がヴェクマンと合併、クラウス＝マッファイ・ヴェクマンとなる。

もう一度検索