フェラーリ・エンツォフェラーリ

エンツォ・フェラーリ

エンツォ・フェラーリは、2002年にイタリアの自動車メーカー・フェラーリによって発表されたスーパーカーです。この車は、フェラーリ誕生55周年を祝し、創業者エンツォの名を冠した特別なモデルであり、スーパーカーの中でも特に限定生産されたスペチアーレなモデルとして位置付けられています。

発表までの経緯

フェラーリの定番車288GTO、F40、F50に続く形で、21世紀の初めて発表された限定生産車は初め、「F60」として認識されていました。しかし、2002年4月27日に東京都現代美術館で公開された原寸大のプロトタイプ「FX」により、その名称が「エンツォ・フェラーリ」と決まったのです。正式公開は9月28日のパリモーターショーにて行われました。

合計で399台が生産され、その内訳は349台と50台の追加生産モデルであり、日本に正規輸入されたのはわずか33台でした。新品時の価格は約7,850万円で、希少性から中古市場では3億円以上の価格がつくこともあります。

特筆すべきは、2005年にサザビーズのオークションに出品された「400台目」のエンツォで、これはチャリティー目的で特別に製作されたもので、ローマ教皇からのメッセージが込められた特別な一台です。約1億5千万円で落札され、その収益は多くの人々の支援に使用されました。

デザインと機能性

エンツォ・フェラーリのデザインは、日本人カーデザイナー・奥山清行によって手掛けられました。F50に無かった快適性と、圧倒的な動力性能を兼ね備えています。特にF1カーを意識したフロントノーズや、フェラーリ特有の丸形テールランプのデザインが施され、スーパーカーとしての圧倒的な存在感を示しています。

デザインの過程では、奥山自身が保守的な案を提出したところ、フェラーリ会長からの指示でより大胆なアイデアを短時間で完成させる必要がありました。さらには、2019年にはRX-78ガンダムからインスパイアを受けたとも述べています。

F50にあったリアウィングは取り除かれ、キャノピーを強調した流線型の形状に仕上げられています。バタフライドアの採用により、乗り降りのしやすさも考慮されています。エアコンも装備され、ドライバーの快適性にも配慮がなされています。

エンジンとパフォーマンス

エンジンは型式名F140Bで、5,998ccの水冷V型12気筒DOHCエンジンを搭載し、最高出力660 PS、最大トルク67 kgf·mというパワフルな仕様を持っています。回転数の上限は8,200 rpmまで許容し、吸排気バルブの開閉タイミングを調整する可変バルブ機構も装備されており、とても扱いやすいエンジンとなっています。最高速度は350 km/hとの公表があります。

トランスミッションは6速セミオートマチックを採用し、パドルシフトによる手動操作のみとなっていて、ドライバーは「ノーマル」、「スポーツ」、「レース」のモードを選択することができます。特に「レース」モードを選ぶことで強力なスタートが可能になります。

サスペンションは四輪ダブルウィッシュボーン式を採用し、ブレーキにはカーボンセラミック素材を使用したブレンボ製が装備されています。また、スタビリティコントロール機能であるASRを搭載しており、安全性も高められています。

全体として、エンツォ・フェラーリは過激な性能を誇りながらも、ドライバーをしっかりと守る設計となっています。究極的な快適性や安全性能を兼ね備えたスーパーカーとして、その名は永遠に語り継がれることでしょう。

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