フェルディナンド・カルロ・ゴンザーガ＝ネヴェルス

フェルディナンド・カルロ・ゴンザーガ＝ネヴェルス（1652年 8月31日 - 1708年 7月5日）は、イタリアの名門ゴンザーガ家が治めたマントヴァ公爵領およびモンフェッラート公爵領における最後の君主です。1665年に公爵位を継承し、1708年に死去するまでその地位にありましたが、その治世末期には全ての領土を失い、嫡出の後継者を残さなかったため、3世紀以上にわたるマントヴァにおけるゴンザーガ家の支配は彼の代で幕を閉じました。

生涯

フェルディナンド・カルロは、マントヴァ公カルロ2世と、前方オーストリア大公レオポルト5世の娘であるイザベッラ・クララの間に生まれた一人息子でした。彼の誕生は、公爵家の将来を担う者として期待されたことでしょう。

1671年、彼はゴンザーガ家内の別系統にあたるグアスタッラ公フェランテ3世の娘、アンナ・イザベッラ・ゴンザーガと結婚しました。この結婚は、マントヴァ継承戦争以降、長らく対立関係にあったゴンザーガ家のヌヴェール系（フェルディナンド・カルロの系統）とグアスタッラ系の和解を目的としたものでした。神聖ローマ皇后であり、フェルディナンド・カルロの叔母にあたるエレオノーラがこの政略結婚の実現に貢献したとされています。

しかし、結婚は家内融和をもたらした一方で、新たな火種も生みました。1678年に義父であるグアスタッラ公フェランテ3世が死去すると、フェルディナンド・カルロはグアスタッラ公爵領の継承を期待していましたが、この領地はハプスブルク帝国によって占拠されてしまいます。これに強い不満を抱いた彼は、ハプスブルク家に対抗するため、フランス王ルイ14世への接近を図りました。

その行動は、領地の切り売りという形で現れます。1678年12月、彼はモンフェッラート公爵領の一部であった要衝カザーレをフランスに売却しました。さらに1681年にはフランスと協定を結び、6000リラの年金と将軍の地位を得る代わりに、フランスがイタリアへの軍事遠征を開始した際にはこれに協力することを約束します。この協定に基づき、1681年9月29日にフランス軍がカザーレに進駐したことは、イタリア半島における彼の信用を決定的に失墜させる出来事となりました。

スペイン継承戦争が勃発すると、フェルディナンド・カルロは当初の立場を一貫させ、フランス側を支持しました。これに対し、反フランス同盟軍は1701年にはマントヴァ公爵領への侵攻を開始します。公爵は自領を追われ、カザーレへと逃亡せざるを得ませんでした。この危機的状況の中、留まった公爵夫人アンナ・イザベッラが夫の不在中に摂政として領国の統治を担いました。

1703年に公爵夫人アンナ・イザベッラは嫡子を残すことなく死去します。フェルディナンド・カルロは翌1704年、フランス王室の遠縁にあたるエルブフ公シャルル3世の娘、シュザンヌ・アンリエットと再婚しましたが、後妻との間にも嫡出の後継者を得ることはできませんでした。ただし、複数の愛妾との間には少なくとも6人の子供がいたと記録されていますが、彼らに継承権はありませんでした。

神聖ローマ皇帝レオポルト1世は、フェルディナンド・カルロがフランス側についたことを受け、既に1701年には彼を反逆者と宣告していました。事態がさらに悪化したのは、1706年にフランス軍がイタリア北部からアルプス以北へと退却したことです。これにより、フェルディナンド・カルロの立場は極めて不安定なものとなります。そして1708年、ついに彼はイタリアにある全ての領土をハプスブルク家によって没収されました。

没収された領土のうち、モンフェッラート公爵領は、すでにその半分を1631年から支配していたサヴォイア家の領土に併合されました。マントヴァ公爵領は独立した公爵領としては廃止され、ミラノ公爵領に編入される形で、ハプスブルク家の直接統治下に置かれることとなりました。

フェルディナンド・カルロは、領土を全て失ったその年のうちに、嫡出の後継者を残すことなく死去しました。これにより、1328年からマントヴァを支配し、ルネサンス文化のパトロンとしても知られた名門ゴンザーガ家のマントヴァ系は断絶し、その歴史に終止符が打たれたのです。

もう一度検索