フェルディナン・フォッシュ

フェルディナン・フォッシュ

フェルディナン・フォッシュ（Ferdinand Foch, 1851年10月2日 - 1929年3月20日）は、フランスの優れた陸軍軍人であり、第一次世界大戦の重要な指導者として知られています。彼は、戦争の戦略や戦術に関する著名な兵法家でもあり、その思想は後世にまで影響を与えました。

経歴

フォッシュはフランスの南西部、タルブという都市に有閑階級の家庭に生まれました。父親は徴税請負人で、母親は軍人ジャック・ロマン・デュプレの娘です。また、彼女の兄弟には医師・政治家のジェルマン・デュプレがいました。フォッシュは志願兵として普仏戦争に参戦し、その後エコール・ポリテクニークを卒業。引き続き、フォンテーヌブロー応用砲兵学校を修了し、軍事技術の専門家としてのキャリアを築いていきました。

彼は1895年からエコール・シュペリウール・ミリテールで軍事戦略論を教授し、『戦争の原則』や『戦時統帥論』といった著作を残しています。これらの著作は、軍事教育の基礎として重要な位置を占めており、彼の名声を確立させる要因となりました。

フォッシュは1907年に少将、1911年には中将に昇進し、第13歩兵師団の指揮官を拝命しました。1912年には第8軍団、翌1913年には第20軍団の指揮官にも就任しています。フォッシュは1914年のマルヌ会戦前夜に新編成された第9軍を指揮し、その後北部軍集団司令官に任命されました。この時期に彼は多くの戦闘に参加し、実践的な経験を積み重ねていきました。

1918年3月26日、フォッシュは連合国軍の総司令官に就任し、同年8月にはフランス元帥の称号を授与されます。彼の指導の下、連合国はドイツに対する勝利を収め、その功績によりフォッシュは終戦後も高く評価されました。1919年にはイギリス陸軍元帥、1923年にはポーランド元帥に叙せられます。

フォッシュはパリ講和会議においても重要な役割を果たし、ドイツやボリシェヴィキ政権に対して厳しい措置を提言しましたが、この姿勢が急進左派の首相ジョルジュ・クレマンソーとの対立を招くことになりました。彼は1925年から1926年にかけてドイツの非武装監視委員会の会長を務めました。1929年3月20日、フォッシュはこの世を去り、オテル・デ・ザンヴァリッドに埋葬されました。

語録

フォッシュはさまざまな名言を残しており、その言葉は多くの人々に影響を与えました。たとえば、彼が第9軍を指揮していた時に言った、

「我が軍の右翼は押されている。中央は崩れかけている。撤退は不可能。状況は最高、これより攻撃。」

また、彼はヴェルサイユ条約を次のように表現しました。

「これは平和などではない。たかだか20年の停戦だ。」

この言葉は後にウィンストン・チャーチルの著作にも引用され、彼の見解を象徴する言葉となりました。フォッシュの予想通り、ヴェルサイユ条約の締結からちょうど20年後に、第二次世界大戦が勃発しました。

まとめ

フェルディナン・フォッシュは、戦略家としての才能だけでなく、実際の戦闘経験を通じてその名声を築いた偉大な指導者でした。彼の見解や教訓は、現代においても軍事学の重要な一部として受け継がれています。

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