フェルナンド・マルティネス (ボクサー)

フェルナンド・マルティネス

1991年7月18日、南米アルゼンチンのブエノスアイレス州アベジャネーダに生まれたフェルナンド・マルティネスは、世界スーパーフライ級の舞台で活躍するプロボクサーです。現WBA世界スーパーフライ級王者であり、かつてはIBF世界同級王座も保持していました。そのキャリアは、アマチュア時代から世界の舞台を目指すことから始まりました。

アマチュアボクサーとして、マルティネスはフライ級（52kg）で国際大会への出場経験を持ちます。2015年には世界ボクシング選手権大会に挑みましたが、残念ながら初戦で敗退。翌2016年のリオデジャネイロオリンピックにも出場しましたが、こちらも初戦で世界の壁に阻まれ、早期敗退という結果に終わりました。

プロ転向後、マルティネスは着実にキャリアを積み重ねていきます。2019年12月16日には、南アフリカのイースト・ロンドンで行われたWBC世界スーパーフライ級シルバー王座決定戦に出場。当時の王者、アゼンコジ・ドゥメズウェニと対戦し、11回23秒TKO勝利を収め、地域タイトルを獲得しました。

そして、世界王座初挑戦の機会が訪れます。2022年2月26日、アメリカ・ラスベガスで行われたIBF世界スーパーフライ級タイトルマッチで、長らくその王座に君臨していたフィリピンの強豪、ヘルウィン・アンカハスに挑みました。格上と見られていた王者に対し、マルティネスは終始積極的な攻撃と堅固なディフェンスを展開。12回を戦い抜き、ジャッジ3者全員がマルティネスを支持する明白な3-0の判定勝利を収め、プロ無敗のまま遂に世界王座を獲得しました。

初防衛戦は、前回下したアンカハスとのダイレクトリマッチとなりました。同年10月8日、場所をカリフォルニア州カーソンに移しての再戦でも、マルティネスは王者の実力を見せつけます。再び12回判定勝ちを収め、IBF王座の初防衛に成功しました。この一戦におけるファイトマネーは、マルティネスが7万5千ドル（当時のレートで約1000万円）、敗れたアンカハスが10万ドル（約1400万円）であったと報じられています。続く2度目の防衛戦は、2023年6月25日、ミネソタ州ミネアポリスで行われました。IBF世界スーパーフライ級1位の指名挑戦者、ジェイド・ボルネアとの対戦では、11回29秒TKO勝利を収め、連続防衛記録を「2」に伸ばしました。

マルティネスのキャリアにおける最大の転換点の一つとなったのが、2024年7月7日に日本の両国国技館で行われたWBA世界スーパーフライ級王者、井岡一翔との王座統一戦です。これが日本のリング初登場となったマルティネスは、日本ボクシング界のレジェンドでもある井岡を相手に激しい攻防を繰り広げました。結果は12回判定3-0でマルティネスの勝利。これにより、自身が保持していたIBF王座の3度目の防衛を果たすとともに、悲願であったWBA世界スーパーフライ級王座も獲得。主要2団体王座を統一し、「スーパー王者」の称号を手にしました。この歴史的な一戦は、日本国内ではABEMAで独占無料配信され、多くのボクシングファンが熱狂しました。

しかし、統一王者となったマルティネスは、2024年10月29日にIBF世界スーパーフライ級王座の返上を発表しました。これは、IBFが義務付けた指名挑戦者ウィリバルド・ガルシアとの対戦ではなく、井岡一翔との再戦の可能性を優先させるための決断と見られています。

これまでにフェルナンド・マルティネスが獲得した主なタイトルは以下の通りです。

アルゼンチンスーパーフライ級王座
WBC世界スーパーフライ級シルバー王座
IBF世界スーパーフライ級王座（3度防衛後に返上）
WBA世界スーパーフライ級王座

現WBA世界スーパーフライ級王者として、今後のマルティネスの動向、特に井岡一翔との再戦の可能性や、他の団体王者との統一戦などが注目されています。

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