フェルナンド2世 (ポルトガル王)

ポルトガル国王フェルナンド2世：波乱に満ちた生涯

フェルナンド2世(1816年-1885年)は、ポルトガルを揺るがした重要な人物です。彼は、ポルトガル女王マリア2世との結婚によって国王の称号を得ました。単なる王配に留まらず、政治にも深く関与し、ポルトガルの歴史にその名を刻んでいます。

フェルナンド2世は、ザクセン＝コーブルク＝ゴータ公子フェルディナントとハンガリーの貴族コハーリ家の娘との間に生まれました。ヨーロッパの王室とは複雑な親戚関係にあり、イギリスのヴィクトリア女王やその夫アルバートとは従兄妹にあたります。さらに、ベルギー国王レオポルド1世は叔父、ブルガリア国王フェルディナントは甥という関係でした。

1836年、19歳のフェルナンドはマリア2世と結婚します。これはマリア2世にとって2度目の結婚でした。ポルトガルの法律では、女王との間に子供が生まれた場合のみ、夫が国王の称号を得ることができたため、最初の夫であるロイヒテンベルク公アウグストには国王の称号は与えられませんでした。しかし、マリア2世とフェルナンド2世の間に長男ペドロが誕生したことで、フェルナンド2世は国王の座に就くことができたのです。

マリア2世の治世において、最終的な決定権は女王にありましたが、フェルナンド2世は多くの国政に関与し、女王と協力して数々の問題解決にあたりました。彼は、単なる王配という役割を超え、ポルトガルの政治史において重要な役割を果たしたのです。

1853年、マリア2世は11番目の子供を出産した際に崩御しました。当時、王位継承者であったペドロ5世はまだ13歳でした。そのため、フェルナンド2世は摂政として国政を執りました。しかし、ペドロ5世は若くして崩御し、1861年にはフェルナンド2世の次男、ルイス1世が王位を継承しました。

フェルナンド2世の人生には、さらに興味深いエピソードがあります。1868年、スペインでイサベル2世を退位に追い込んだフアン・プリム侯は、ボルボン家に代わるスペイン国王としてフェルナンド2世に即位を打診しました。フェルナンド2世は「ポルトガルの独立が保証されるなら」という条件付きで承諾を示しましたが、最終的にはこの話は実現しませんでした。スペイン国王には、サヴォイア＝アオスタ家のアメデーオが即位することになります。

フェルナンド2世とマリア2世の間には、7人の息子と4人の娘が生まれました。しかし、そのうち4人は幼少期に亡くなっています。生き残った子供たちは、ポルトガルの歴史に大きな影響を与えました。ペドロ5世は王位を継承し、ルイス1世も王位に就きました。また、娘たちの中には、ヨーロッパの王族と結婚した者もいます。

マリア2世の死後、フェルナンド2世はオペラ歌手のエリザ・ヘンスラーと再婚しました。しかし、この結婚には子供は生まれず、フェルナンド2世は1885年に亡くなりました。晩年、彼はエリザと静かに余生を過ごしたのです。

フェルナンド2世の生涯は、王族としての華々しさだけでなく、政治への関与、そして私生活における喜びと悲しみを織り交ぜた、波乱に満ちたものでした。彼の存在は、ポルトガル王室の歴史、そしてポルトガルの歴史そのものに深く刻まれています。

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