フェロー諸島沖海戦

フェロー諸島沖海戦

概要

フェロー諸島沖海戦は、1939年11月23日に北大西洋で発生した海戦であり、第二次世界大戦中の重要な出来事の一つです。この戦闘では、ドイツ海軍のシャルンホルスト級戦艦2隻がイギリスの補助巡洋艦ラワルピンディと遭遇し、激しい戦闘が繰り広げられました。結果的に、ラワルピンディは撃沈され、ドイツ艦は撤退しました。

戦闘の背景

1939年9月に第二次世界大戦が始まると、ドイツ海軍は通商破壊作戦を展開していました。この際、アドミラル・グラーフ・シュペーやドイッチュラントといった艦艇が登場し、イギリス海軍はこれに対抗するために強力な護衛艦や任務部隊を派遣しました。その一環として、ドイツ海軍は戦艦シャルンホルストおよびグナイゼナウをアイスランド南方へ向けて出撃させることを決定しました。

戦闘前の展開

1939年11月21日、シャルンホルストとグナイゼナウは、艦隊司令官ヴィルヘルム・マルシャルの指揮下、ヴィルヘルムスハーフェンを出航しました。この艦隊には軽巡洋艦や駆逐艦も随伴し、ポケット戦艦リュッツオウとともに通商破壊任務に向かいました。しかし、出撃の際には荒天のため、イギリス艦はドイツ艦を発見することができませんでした。

11月23日、ドイツ艦はフェロー諸島の北西に到達し、イギリスの補助巡洋艦ラワルピンディとの接触を果たします。ラワルピンディは、北方哨戒任務を遂行中でした。

戦闘の発生

この日の16時7分、シャルンホルストはラワルピンディを発見し、進路を変更。停船を命じましたが、ラワルピンディはその要求を拒否し、必死に逃走を試みました。両艦の間で交戦が始まったのは17時3分のことでした。補助巡洋艦とドイツの高速戦艦との戦いでは、明らかに不利な状況であり、シャルンホルストの主砲弾がラワルピンディに命中し、炎上しました。

中でも注目されるのは、ラワルピンディの艦長ケネディが戦死し、通信設備が破壊されるなど、状況が悪化するなか、ラワルピンディは「救難艇の派遣を乞う」という信号を最後に発信しました。しかし、ラワルピンディは30分ほどの激闘の末、沈没しました。

戦闘後の対応

救助船が派遣され、27名の生存者が救助されましたが、ドイツ艦は追撃をかけるイギリス艦（ニューカッスル）を発見し、捜索網から逃れるため北大西洋への出撃を中止しました。イギリス海軍は大規模な捜索を行ったものの、ドイツ艦の捕捉には失敗し、最終的にはノルウェー沖へと逃げられてしまいます。

この戦闘は、ドイツ海軍の戦術のひとつを示すものでもあり、補助巡洋艦の勇敢な抵抗に対してイギリス国民は感謝の意を示しました。ラワルピンディの乗組員には勲章が贈られ、艦長の遺族にも名誉が授けられました。

結論

フェロー諸島沖海戦は、第二次世界大戦初期の海戦の一つであり、戦局の流れに影響を与えた出来事でもありました。ドイツ艦の戦術や、イギリス海軍の捜索網の広がりは、戦略的に重要な教訓を提供しています。

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