シャルンホルスト級戦艦

シャルンホルスト級戦艦について

シャルンホルスト級戦艦は、1935年のヴェルサイユ条約の軍事規定を破棄した後に建造されたドイツ海軍の戦艦で、シャルンホルストとグナイゼナウの2隻から構成されます。両艦は1935年に起工し、翌年に進水しました。進水順に名前が付けられることが一般的ですが、グナイゼナウは起工日が早かったため、時には「グナイゼナウ級」とも呼ばれています。

艦種の議論

シャルンホルスト級が戦艦であるか巡洋戦艦であるかについては、意見が分かれています。1943-44年版の『ジェーン海軍年鑑』は「戦艦」として分類し、元海軍技術少佐の福井静夫は「戦艦」としつつも本文中では「巡洋戦艦」とも記述しています。このように、艦種の解釈は様々ですが、ドイツ海軍ではこれを主に「戦艦」と見なしていました。

建造の背景

シャルンホルスト級の建造は、フランスが中型戦艦であるダンケルク級に着手したことに対抗するために行われました。元々、ドイッチュラント級装甲艦を基にした大型艦の計画が存在しましたが、ヴェルサイユ条約の破棄に伴い、基準排水量を拡大した中型戦艦の再計画が始まりました。この新たな設計は、26,600トンの排水量と30ノットの速力を想定しており、主砲の数と配置が見直されました。

艦形と凌波性の問題

竣工時のシャルンホルストの艦首形状はほぼ垂直に近く、初期の公試では航海中に水しぶきが艦橋に及ぶ現象が見られるなど、凌波性に課題がありました。そのため、後に艦首を改修し、艦の全長を若干延長させる必要がありましたが、改修後も完全な凌波性の改善には至りませんでした。

武装と改良

初期設計では28cm砲を主砲として使用する予定でしたが、ダンケルク級の装甲の情報を受けて38cm砲の搭載に計画変更がありました。しかし、開発が遅れたため最終的には28cm砲を改良型の「1934年型 28cm（54.5口径）砲」に戻しました。この砲は射程が長く、強力な徹甲弾を装填できる能力がありました。また、副砲には「SK C/28 1928年型 15cm（55口径）速射砲」を12門配置し、対空用の高角砲や近接火器も装備されていました。

機関

本級の機関配置は進歩した技術に基づき、全缶全機配置方式が採用されています。ワグナー式の重油専焼高圧缶を使用し、12基のボイラーから高圧蒸気を発生させることで、機関の性能が向上しました。

防御性能

防御装甲は水線面上に350mm、下部は170mmと設計されていましたが、対艦防御は十分とは言えませんでした。特に、舷側防御の薄さが実戦で問題となり、大きな損害を被ってしまいました。主装甲帯の性能は一定の水準を満たしていましたが、敵の砲弾が予想以上の高所で命中する場合が多く、脆弱な防御が問題の種となりました。

総評

シャルンホルスト級戦艦は当初の建造目的には不十分な性能であったため、「ダンケルク級への対抗」という評価には達し得ませんでした。その主砲の口径が小さかったことは、同世代の他の艦船との競争において不利な要因となりました。しかし、建造された技術や経験は後のビスマルク級戦艦に受け継がれることとなります。実戦では大きな戦果を上げることができず、対艦戦闘よりも通商破壊にその役割が限定されたのも、艦の評価に影を落としました。

同型艦とその登場作品

シャルンホルスト級は、複数のフィクションやゲームに登場しています。小説『レッドサン ブラッククロス』では巡洋戦艦として、また『World of Warships』では戦艦として描かれています。艦船擬人化ゲームなどにもキャラクターとして登場し、幅広い認知を得ています。

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