フェンダー (自動車)

フェンダーとは

フェンダーは自動車における重要な部品で、主にタイヤによる石や泥、水しぶきを跳ね返すことで、車両内の乗員や外部の歩行者を保護する役割を担っています。アメリカ英語で呼ばれるこの部品は、イギリス英語では「ウイング」と称されることもあります。

フェンダーの歴史とデザインの変遷

かつてフェンダーは車体とは別個の部品でしたが、1940年代末には「フラッシュサイド」と呼ばれるデザイン手法が登場し、フェンダーとキャビンが一体化した形状が一般的になりました。このデザインの進化によって、現代の多くの車両モデルでは、ボディ全体と調和した一体感のあるスタイルが採用されています。

フェンダーのサイズは通常タイヤよりも大きく設計されており、これはサスペンションや操舵の動きによるタイヤとの接触を防ぐためです。最近の車両では、フェンダーはタイヤの上部を覆う形状が一般的ですが、1940年代から1950年代の一部モデルには、フェンダースカートのようにホイール全体を隠すデザインが見られました。これにより、車両の外観がよりエレガントになると同時に、汚れや水しぶきからの保護が強化されます。

フェンダーの機能と役割

ホワイトウォールタイヤのように、タイヤの側面が汚れや傷から守られるように、フェンダーにはカーブフィーラーが装着されることがあります。これは、運転者に対して障害物との接触の前に注意を促すための装置です。1950年代から1960年代にかけて広く使用され、特にアメリカでは「フェンダー・ベンダー」と呼ばれる小規模な自動車事故の表現としても親しまれています。

一方で、フォーミュラカーなどのレーシングカーでは、フェンダーが排除され、タイヤがむき出しの状態（オープンホイール）で走行するレギュレーションが設けられている場合もあります。これに対して、日本をはじめとする国々では、フェンダーがないことで泥水や石が飛び散る危険性があるため、車検で厳重にチェックされるのが一般的です。

オーバーフェンダーとブリスターフェンダー

フェンダーの改良やカスタマイズの一環として、オーバーフェンダーやブリスターフェンダーと呼ばれる部品が用いられることがあります。オーバーフェンダーは、正規のフェンダーの上に取り付けられる形状で、太いタイヤや広いトレッドに対応するために設計されています。これらはコストを抑えつつ改造を可能にし、法的な必要性やエアロパーツとしての役割を果たします。

ブリスターフェンダーは、オーバーフェンダーと同様の機能を持ちながら、全体が膨らんだ形状に設計されているため、空力特性に優れた性能を発揮します。これらのフェンダーは、従来のボディーと一体化しており、取り付けはしっかりと固定されることが求められるため、ビス止めやリベット止めが一般的です。特にR32～34型スカイラインGT-Rやランチア・デルタでは、メーカーからの純正部品としてブリスターフェンダーが採用されています。

まとめ

自動車のフェンダーは、乗員や歩行者を守るためだけでなく、エステティックな側面でも大きな役割を果たしています。デザインや機能性の変化に伴い、今後もその重要性は続くと考えられます。

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