フェンダー・ジャズマスター

ジャズマスター (Jazzmaster)

ジャズマスターは、1958年にフェンダー社によって発表されたエレクトリック・ギターです。この楽器は、音楽シーンに新たな風を吹き込むために開発され、特にジャズに対応したギターとして名を馳せています。もともとジャズ・ギタリストはギブソン・レスポールを重用していましたが、レオ・フェンダーは新たな選択肢としてジャズマスターを作り出しました。

歴史と開発の背景

1950年代、テレキャスターやストラトキャスターがジャズで使用されることはほとんどありませんでした。そこで、ジャズに特化したギターを求められるようになり、ジャズマスターはオフセットウエストのボディシェイプや、調整可能なブリッジなど、革新的なデザインが採り入れられました。この名称自体がジャズに根ざしていることからも、その目的は明白です。ジャズマスターは、ジョー・パスをはじめとする多くのジャズ・ギタリストに支持され、またその音色は他のジャンルのミュージシャンにも影響を与える存在となりました。

特徴と構造

ジャズマスターのピックアップは、一般的なシングルコイル・ピックアップよりも大きく、太く豊かな音を生成します。同楽器ではフローティング・トレモロが搭載され、これにより滑らかなビブラートを可能にしています。このユニークな機構は、後にジャガーにも応用されました。さらに、ボディ内部には真鍮のプレートがあり、外部からのノイズを遮断する役割を果たしています。

ピックガードはゴールド・アノダイズドが使用されており、見た目にも華やかです。内部の設計は、ストラトキャスターからさらに進化し、製作工程の効率化が図られています。音色と音量の調整に便利なプリセット・トーン/ボリューム回路も特長的で、演奏中に自分好みの音を瞬時に呼び出せるため、多様な表現が可能です。

変遷と再生産

1965年以降、ジャズマスターは様々な改良が行われ、バインディングやポジション・マークの変更などが施されました。1980年代に製造が終了するまで、多くのマイナーチェンジがありましたが、需要は続き、1986年からはフェンダー・ジャパンで再生産が開始され、1999年からはアメリカ製も登場しました。このように、ジャズマスターは長い歴史を持ち、今なお多くのミュージシャンに愛され続けています。

使用アーティスト

多くの有名ミュージシャンがジャズマスターを愛用しています。海外ではザ・ベンチャーズのドン・ウィルソンやボブ・スポルディング、ソニック・ユースのサーストン・ムーアなどが名を挙げられます。また、日本国内でも多くのアーティストがこのギターを使っています。これほど多様なジャンルで使用されることからも、ジャズマスターのポテンシャルが示されています。

ジャズマスターは見た目の美しさとともに、演奏においても多様性に富んだサウンドを提供するギターです。音楽の歴史を共に進化させてきたこの楽器は、今後も多くのアーティストに影響を与え続けることでしょう。

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