フォスター銃架

フォスター銃架について

フォスター銃架（フォスターじゅうか）は、第一次世界大戦において主にイギリス軍が活用した特有の機関銃搭載装置です。この装置は、複葉機の上翼にルイス機関銃を装備するために開発されました。操縦士は、飛行中でも弾倉の交換や銃弾の詰まりを解消することができる、特別なデザインが特徴です。

開発の背景

1916年の初め、イギリス陸軍航空隊第11飛行隊のフォスター軍曹が、ニューポール11戦闘機にルイス機関銃を装備するための可動式レール銃架を考案しました。この構造は、銃が操縦士の視線の前に引き下ろされる形になっており、扱いやすさが向上しています。その結果、飛行中でも簡単に弾倉を交換したり、銃弾の詰まりを迅速に処理できるようになりました。この発明は、すぐにニューポール17や24、S.E.5などのイギリス製複葉機にも広まっていきました。

斜め射撃の可能性

このフォスター銃架の使用により、ルイス機関銃は単なる前方射撃だけでなく、敵機の下方から上向きの発射が可能となりました。これは、撃墜王として名高いアルバート・ボールが好んで用いた戦法でもあり、第二次世界大戦におけるドイツ空軍の夜間戦闘機が採用した「シュレーゲムジーク」と呼ばれる斜め射撃の先駆けとも言えます。前方に向かって弾を発射する際はケーブル操作によって引き金が引かれ、上向き射撃の際はピストル型のグリップを持つことで安定性が保たれました。

使用上の注意と課題

フォスター銃架を2つ並べて使用する試みも行われましたが、同時に2挺のルイス機関銃が発生させる反動と振動は、当時の航空機の翼に対して非常にリスクが高いと考えられました。フォスター銃架を使うことで、射線はプロペラの回転面から外れ、同調ギアが不要となる利点がありました。然而、安定性の面では胴体に直接取り付けるよりも劣り、振動の影響を受けやすく、そのため銃弾の散布範囲は広がってしまう傾向がありました。

ビジュアルと適応性

フォスター銃架を装着した機体の具体例としては、アブロ504K夜間戦闘機やS.E.5aが挙げられます。これらの機体は、銃架の設計からして異なり、アブロ504Kは胴体と上翼の間隔が広く、S.E.5aはコンパクトで、操縦士が銃に簡単に手を伸ばすことができました。このように、銃架のサイズや設計は機種によって最適化されていました。

このように、フォスター銃架は第一次世界大戦における航空戦の重要な要素であり、操縦士の戦術の幅を広げただけでなく、後の航空戦における戦術革新にも寄与した装置です。

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