フォッカー W.3

フォッカー W.3の概要

フォッカー W.3は、ドイツが試作した水上偵察機で、フォッカー M.7を基にした設計が特徴です。M.7は、もともと複葉の偵察機として設計されていましたが、海軍の必要に応じて水上機へと改造されました。この改造には、フォッカー W.2で使用されたフロートが活用されています。特に、W.3はドイツ海軍に正式に採用されることはありませんでしたが、その設計は興味深いものがあります。

設計の特徴

W.3の降着装置は、2基のフロートから構成されており、尾部にはスキッドが装着されています。これにより、機体は水上での離着陸が可能となります。また、機体の自重が増加することに対応するため、主翼は大きくする必要がありました。その結果、上翼は以前よりも高く配置され、必要な揚力を確保するために設計されました。主柱は逆V型を採用し、控え線を張ることで主翼を安定させるための構造が取り入れられています。さらに、支柱を増やすことで主翼全体の剛性を高めました。

エンジンには、M.7でも用いられていた80馬力のオーバーウルゼルU01が搭載されています。これは、信頼性を重視した設計意図から選ばれたものでした。W.3の開発においては、使用する部品の互換性を考慮しながら進められました。これにより、過去の技術を活かしつつ、新たな挑戦を行おうとした姿勢が見受けられます。

飛行試験と結果

フォッカー W.3が完成した後、次のステップとして飛行試験が実施されました。しかし、残念なことに飛行に成功することはなく、計画は早期に中断されてしまいました。この結果、W.3の機体はほとんど実用化されることなく解体され、その残材は再利用されてM.7へと改造されることになりました。

M.7のその後

改造後のM.7は、ドイツ海軍航空隊での練習機として使用されることになり、海軍のパイロット訓練に貢献しました。このように、W.3の設計が直接的には果たせなかった目標を、M.7の実用化によって一定の形で実現することができたのです。

まとめ

フォッカー W.3は、その飛行試験の失敗という結果に終わったものの、技術的な挑戦がいくつも盛り込まれた機体でした。水上機としての可能性を追求する中で、過去の設計を活かしつつ新たな試みを行なったことは、航空機の進化において重要な一歩であったと言えるでしょう。

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