フォッケウルフ トリープフリューゲル

トリープフリューゲルの概要

トリープフリューゲル（ドイツ語: Triebflügel）は、第二次世界大戦末期にドイツのフォッケウルフ社が設計したジェット戦闘機です。この機体は、流線型の美しいデザインと先進的な機構を特徴としていました。特に目を引くのはその名の通り、回転式の駆動翼による独特の飛行メカニズムです。この名称は「Trieb」が駆動を意味し、「flügel」が翼を意味することから、回転する翼の駆動装置として解釈できます。

設計と特性

トリープフリューゲルは、V2ロケットに似た細長い胴体を持ち、尾部には4枚の姿勢安定尾翼が設けられています。これらの尾翼の先端には車輪が取り付けられ、地上において直立する姿勢を保ちます。機体の中央部には3枚のピッチ付きブレードフィンがあり、その先端にはパブスト型ラムジェットエンジンが搭載される予定でした。このエンジンは約9.9kNの推力を持ち、粉末化された石炭を燃料とするラムジェットエンジンで、これにより回転翼として揚力を生み出します。

トリープフリューゲルは従来の戦闘機とは異なる点が多くありました。主翼などの水平飛行用の揚力発生装置は持たず、離陸時にはヘリコプターのように垂直に上昇することを目的としていました。この機構は「チップジェット方式」と呼ばれ、推力が翼端に配置されるためカウンタートルクが発生しない利点があります。また、燃料供給は胴体内部から遠心力を利用して翼内を通じて行われる設計でした。これにより、地面の滑走路なしでの離陸が可能とされていました。

歴史的背景と未完成

この戦闘機は、森林から敵機を迎撃するために開発されましたが、設計が進む一方で、ドイツは敗戦を迎えました。そのため、実際にこの機体が完成することはなく、試作機さえも作られませんでした。さらに、動力源であるパブスト型ラムジェットエンジンも十分に実用化されておらず、計画はあくまで理論上のものでした。しかし、その後の垂直離着陸機（VTOL機）の研究には大きな影響を与えることとなりました。特に、トリープフリューゲルの基本構想は、テールシッター型と呼ばれるVTOL機の基礎として活用されています。

仕様

• - 全長: 9.15m
• - 翼幅: 11.5m
• - 総重量: 2,500kg
• - エンジン: パブスト式ラムジェット×3（推力: 8.9kN）
• - 最高速度: 1,000 km/h
• - 最高高度: 15,300 m
• - 武装: 30mm MK-103×2（100発）、20mm MG-151×2（250発）
• - 乗員: 1人

このように、トリープフリューゲルはその革新的な構想やデザイン、未実現の機体として航空機の歴史に名を残しています。また、登場作品としては『ウォーシップガンナー2 鋼鉄の咆哮』や『キャプテン・アメリカ: ザ・ファースト・アベンジャー』などがあり、今なお多くの人々にその存在を知られています。

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