フォッシュ (重巡洋艦)

フォッシュ: フランス海軍の重巡洋艦

フランス海軍の重巡洋艦フォッシュ(croiseur lourd Foch)は、シュフラン級重巡洋艦の1隻です。その艦名は、第一次世界大戦で連合軍の総司令官を務め、1929年に亡くなったフェルディナン・フォッシュ元帥に由来しています。

艦歴

就役後、フォッシュは姉妹艦デュプレクスと共に地中海で活動しました。しかし、1940年からは舞台を大西洋に移し、イギリス海軍と共にドイツ海軍の通商破壊艦に対する哨戒任務に従事しました。この任務は、第二次世界大戦下の枢軸国への対抗策として重要な役割を果たしました。

特に注目すべきは、1940年6月13日に行われたジェノヴァ砲撃作戦です。フォッシュは僚艦アルジェリー、そして複数の駆逐艦隊と共にイタリア本土のジェノヴァ港を砲撃しました。この大胆な作戦は成功を収め、フォッシュは損傷を受けることなくトゥーロンへ帰還しました。この作戦は、フランス海軍の勇敢さと作戦遂行能力の高さを示す出来事となりました。

しかし、フォッシュの活躍は長くは続きませんでした。1942年11月、ドイツ軍が南部フランスに進駐すると、トゥーロンに停泊していたフォッシュを含むフランスの地中海艦隊は、自沈という苦渋の決断を迫られました。これは、ナチスドイツの手に渡ることを防ぐための、フランス海軍による最後の抵抗でした。ヴィシー政府高官や海軍首脳との協議を経て、11月27日、フォッシュは他の艦船と共に自沈しました。

自沈後、フォッシュはイタリア軍によって引き揚げられましたが、修復されることなく、最終的には解体されました。短くも激しい艦歴は、第二次世界大戦下のフランス海軍の苦難と、その存在感の大きさを物語っています。

参考文献

「世界の艦船 増刊第50集 フランス巡洋艦史」（海人社）
「世界の艦船 1986年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
「世界の艦船 2010年1月増刊号 近代巡洋艦史」（海人社）
「世界の重巡洋艦パーフェクトガイド」（学習研究社）
「Conway All The World's Fightingships 1860-1905」（Conway）
「Conway All The World's Fightingships 1906-1922」（Conway）
「ラスト・オブ・カンプフグルッペIII 高橋慶史」（大日本絵画）

関連事項

フランス海軍艦艇一覧

外部リンク

Suffren Class - French warships of WW2 (本級のスペックと艦形図)
Foch (本艦のスペック)

フォッシュの艦歴は、単なる軍艦の記録にとどまりません。それは、第二次世界大戦下のフランスの苦難と抵抗、そして海軍の誇りを象徴する物語なのです。 フォッシュの勇姿は、歴史の教科書に、そして多くの人々の記憶の中に刻まれています。

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