フォルクスワーゲン・トゥアレグ

フォルクスワーゲン トゥアレグ：高級SUVの系譜

フォルクスワーゲン トゥアレグは、同社が製造・販売する高級SUVです。ポルシェとの共同開発という経緯を持ち、ポルシェ カイエンとプラットフォームを共有する姉妹車関係にあります。フェルディナント・ピエヒによるフォルクスワーゲンの高級化戦略と、ポルシェによるSUVラインナップ拡充の思惑が合致して生まれたモデルと言えるでしょう。生産はスロバキアのブラチスラヴァ工場で行われています。

初代トゥアレグ (2002年 - 2010年)

2002年にデビューした初代トゥアレグは、2.5L～6.0Lの幅広い排気量のエンジンを搭載したバリエーションを展開。日本市場には、3.2L V型6気筒と4.2L V型8気筒ガソリンエンジンモデルが導入されました。特に、2005年に限定500台で発売された6.0L W12エンジン搭載の「W12 SPORT」は、1,000万円を超える価格で話題となりました。

2006年には、フォルクスワーゲン傘下のブランドであるアウディから姉妹車のアウディ Q7が発売され、2007年には初代トゥアレグのマイナーチェンジが行われました。ガソリンエンジンのパワーアップやエクステリアデザインの変更、一部部品の更新などが実施されました。日本仕様車には、当初サイドアンダーミラーが装備され、欧州仕様車のようなカメラモニターシステムは搭載されていませんでしたが、MY08モデルからバックミラー内蔵モニターが標準装備となりました。

環境技術への取り組みとして、2009年にはハイブリッドプロトタイプ「トゥアレグV6TSIハイブリッド」を発表。3.0L V6スーパーチャージャーエンジンと電気モーターの組み合わせ、アイシンAW製8速AT、そして三洋電機製ニッケル水素電池を搭載したこのモデルは、時代の先端をいく環境技術を導入した試みでした。

2代目トゥアレグ (2010年 - 2018年)

2010年、ジュネーヴショーでワールドプレミアされた2代目トゥアレグは、ボディとプラットフォームを一新し、初代モデルと比べて約200kgの軽量化を実現。また、アイシンAW製8速ATの採用により、燃費を約20%向上させました。

パワートレインは、3.0L V6スーパーチャージャー＋モーターのハイブリッドモデルをはじめ、3.6L V6 FSI、V6 TDI、V8 TDIなど多様なエンジンバリエーションが用意されました。フォルクスワーゲン車として初のハイブリッドモデルの登場は、ブランドの環境への取り組みを象徴する出来事でした。ハイブリッドモデルには三洋電機製のニッケル水素電池が採用され、288V、約1.7kWhの出力を実現しています。

日本市場においては、2011年2月から販売が開始され、「ハイブリッド」と「V6」の2グレードが設定されました。両グレードとも優れた環境性能を誇り、燃費基準を大きく上回る数値を達成しました。

その後、2012年には仕様変更、2014年には価格改定、2015年にはビッグマイナーチェンジを実施。安全装備の充実やデザイン変更など、継続的な改良が行われました。特に、2015年のビッグマイナーチェンジでは、フォルクスワーゲン車のデザイントレンドである水平基調のデザインを採用し、安全性能を強化する装備が追加されたことが大きな特徴です。

3代目トゥアレグ (2018年 - )

3代目トゥアレグは、ポルシェ カイエン、アウディ Q7と同様にVWグループMLBプラットフォームを採用。燃費効率の向上と軽量化を図り、開発されました。販売戦略の見直しにより、日本と北米市場からの撤退が決定し、北米市場ではフォルクスワーゲン アトラスが後継車種として位置づけられました。

2020年には、プラグインハイブリッド車「トゥアレグR」が発表されました。3.0L V6ガソリンターボエンジンと強力な電動モーターの組み合わせにより、システム総出力462馬力、700Nmという高い動力性能を誇ります。14.1kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載し、環境性能と動力性能を高次元で両立させています。

モータースポーツでの活躍

トゥアレグは、ダカール・ラリーやパイクスピーク・ヒルクライムなど、数々のモータースポーツイベントでその高い走破性と性能を証明してきました。ダカール・ラリーでは、総合優勝を達成するなど輝かしい成績を残し、フォルクスワーゲンのモータースポーツにおける成功に貢献しました。

まとめ

フォルクスワーゲン トゥアレグは、高級SUVとしての高い品質と、環境性能、安全性能、オフロード性能を兼ね備えた一台です。開発、改良を重ね、常に進化を遂げてきたトゥアレグの歴史は、フォルクスワーゲンの技術力とブランド戦略を如実に示すものです。その優れた性能と魅力は、今後も多くのユーザーを魅了し続けるでしょう。

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