サイドアンダーミラー

サイドアンダーミラー：日本の道路安全を支える小さな鏡

サイドアンダーミラーは、主に日本国内で販売されるライトトラック、SUV、ミニバンなどに装備されている補助確認装置です。助手席側フェンダーなどに装着され、バックミラーや運転手の目視では確認できない死角を解消することで、発進時や駐車時の事故防止に役立っています。その形状からキノコミラーやガッツミラーなどとも呼ばれています。

サイドアンダーミラーの誕生：大型トラックの安全対策から

サイドアンダーミラーの歴史は、1970年代の大型トラックにおける左折巻き込み事故の多発にまで遡ります。事故防止策として、1978年には運輸省（当時）の通達により大型トラックへの装備が義務化されました。これは、サイドアンダーミラーの設置に加え、補助方向指示器の新設、サイドガードの改善といった対策が同時に講じられた、総合的な安全対策の一環でした。大型車の運転席位置の高さや視界の悪さ、そして左折時の死角が事故の大きな原因と認識されており、これらの対策は、当時の技術水準と社会状況を反映した結果と言えるでしょう。

国会においても、大型トラックの運転席位置の低さや安全性の問題が繰り返し議論され、対策の必要性が強く訴えられていました。様々な意見や提案が交わされた結果、サイドアンダーミラーの設置を含む総合的な安全対策が実施されることとなりました。この時代の大型トラックにおける安全対策は、後の乗用車へのサイドアンダーミラーの普及にも大きな影響を与えています。

SUV普及と安全基準の進化

1990年代のバブル景気によるRVブームでSUVが普及すると、今度は車高の高いSUVによる巻き込み事故が増加しました。そこで、日本国内の自動車メーカーは、国内向けSUVにサイドアンダーミラーを装備するようになりました。2003年には、国土交通省の保安基準にサイドアンダーミラーを含めた「直前側方視界基準」が導入され、多くの車種への搭載が義務化または推奨されるようになりました。この基準は、運転席から一定の範囲内にある円柱（6歳児を模したもの）を、直接または鏡・画像などを通して間接的に確認できることを要求しています。この基準の導入により、より多くの車種でサイドアンダーミラーの装着が促進されました。

サイドアンダーミラーの多様な姿

サイドアンダーミラーは、その形状や機能も多様化しています。単純な鏡面のものから、前方と側方の両方を視認できる2面鏡タイプ、ドアミラーに内蔵されたもの、さらにはカメラとモニターによる視認システムなども存在します。ホンダの「プリズムアンダーミラー」のように、プリズムを用いて視界を確保するものも登場し、技術革新によって安全性の向上が図られています。

将来展望：新たな技術との共存

近年では、カメラとモニターによる死角確認システムや、デジタルミラーといった技術の進歩により、サイドアンダーミラーの必要性が問われる場面も出てきています。これらの新しい技術は、従来のサイドアンダーミラーではカバーしきれない死角を解消する可能性を秘めており、将来的にはサイドアンダーミラーに代わる、あるいはそれを補完する技術として普及していくことが予想されます。しかし、現状ではサイドアンダーミラーは依然として重要な安全装置であり、日本の道路交通安全に貢献し続けています。

まとめ

サイドアンダーミラーは、大型トラックの安全対策から始まり、SUVの普及、そして保安基準の整備を経て、日本の道路安全に貢献してきた重要な装置です。技術の進化に伴い、その形状や機能は多様化し、カメラやモニターシステムといった新たな技術との共存も模索されています。日本の道路交通事情を背景に生まれたサイドアンダーミラーは、今後も安全運転を支える重要な役割を担っていくことでしょう。

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