フォルクスワーゲン・up!

フォルクスワーゲン up!：高品質と低価格を両立した小型車

フォルクスワーゲンup!は、同社がかつて製造・販売していたAセグメントのハッチバック型乗用車です。ルポの後継モデルとして位置づけられ、スロバキアのブラチスラヴァ工場で生産されました。1万ユーロからの購入を目指し開発され、大人4人が快適に乗車できる室内空間と高い質感を実現した点が大きな特徴です。

堅牢なボディと充実の安全装備

軽量化と高剛性を両立させた熱間成形鋼板や超高張力鋼板をボディの67%に使用することで、2ドアモデルでは車重900kgを実現。ユーロNCAPで最高評価の5つ星を獲得するなど、高い安全性も確保しています。発売時のドイツ本国価格は約9,850～13,700ユーロでした。

コストを抑えた装備

低価格を実現するため、パワーウィンドウはフロントのみ、リアウィンドウは3ドアモデルが固定式、4ドアモデルも開閉範囲が限定的です。ドアミラーは手動格納式、給油キャップのロックにはメインキーが必要など、一部装備は簡素化されています。

広々とした室内空間

ボディサイズは軽自動車より一回り大きく、日本の1リッターコンパクトカーよりやや小さいです。ルポと比べて全長はわずか20mmの増加にとどめながら、ホイールベースを100mm長くした2,420mmとすることで、室内空間の拡大に成功しました。後部座席でも十分なヘッドクリアランスを確保し、荷室容量は後席を折り畳むことで251Lから951Lに拡大可能です。最小回転半径は全グレード4.6mと取り回しにも優れています。

デザインとバリエーション

デザインテーマは「シンプル＆クリーン」。グリルレス風のフロントマスクが特徴的で、サイドガラスのグラフィックは3ドアと5ドアで異なります。ハッチゲートはスマートフォンを模したデザインです。グレードは「take up!」「move up!」「high up!」など複数存在し、CNGとガソリンのバイフューエルモデル「eco up!」や、電気自動車モデル「e-up!」もラインナップされました。

エンジンとトランスミッション

エンジンは可動部品の精度を高めた1.0L直列3気筒DOHC12バルブで、44kW（60PS）と55kW（75PS）の2種類が設定されました。CNGモデルは50kW（68PS）です。トランスミッションは5速MTに加え、up!専用に開発されたシングルクラッチ式の5速AMT「ASG」も設定。ASGは軽量で低コスト、高効率な点が特徴です。

安全機能

安全機能は充実しており、このクラスでは初となる「シティ エマージェンシー ブレーキ」（5～30km/hで動作する自動緊急ブレーキ）がオプション設定されました。運転席・助手席エアバッグ、サイドエアバッグ、ESPなども標準装備です。

日本での販売

日本市場には2012年10月より導入されました。「move up!」と「high up!」の4ドアモデルと、「move up!」の2ドアモデル（受注生産）が販売され、エンジンは55kW（75PS）の高出力仕様のみでした。トランスミッションは5速ASGのみで、シティ エマージェンシー ブレーキは標準装備。

沿革

up!は、2007年のフランクフルトモーターショーでコンセプトカー「concept up!」が初公開されました。その後、量産モデルが発表され、2011年から欧州で販売開始。日本での販売は2012年から2021年まで行われ、2023年には生産が終了しました。販売期間中には様々な限定車も発売されました。

姉妹車：シュコダ シティゴとセアト Mii

フォルクスワーゲンup!は、シュコダ・シティゴとセアト・Miiという姉妹車も存在します。これらは、フォルクスワーゲンが製造し、それぞれシュコダとセアトが販売する同一プラットフォームの車両です。電気自動車モデルもそれぞれ用意されています。

まとめ

フォルクスワーゲンup!は、高品質と低価格を両立した優れた小型車として、高い人気を博しました。そのコンパクトなボディと広い室内空間、そして充実の安全装備は、多くのユーザーを魅了したと言えるでしょう。姉妹車であるシティゴとMiiも、それぞれ独自の個性を持つモデルとして市場で成功を収めました。

もう一度検索