フォレスト・シャーマン級駆逐艦

フォレスト・シャーマン級駆逐艦について

フォレスト・シャーマン級駆逐艦は、アメリカ海軍が第二次世界大戦後に初めて量産した駆逐艦の艦級であり、艦砲と魚雷を主武装とした最後の在来型駆逐艦として知られています。この艦級は、1953年度計画に基づき18隻が建造され、1955年から1990年まで運用されていました。基本計画番号はSCB-85であり、艦の発展形であるSCB-85Aに移行した艦も存在し、ハル級駆逐艦として分類されることもあります。さらに、ミサイル駆逐艦に改装された艦はジョン・ポール・ジョーンズ級として区別されています。

来歴

フォレスト・シャーマン級の誕生は、1946年に開かれた駆逐艦研究会から始まりました。そこで、駆逐艦隊の役割の見直しが行われ、対空能力や対潜戦能力の強化が求められました。特に、高速で機動する空母機動部隊の護衛艦に対する脅威が高まる中、これに対応するための艦艇の必要性が増していました。こうした背景から、従来の大型艦ではなく、より小型でコストを抑えた「駆逐艦らしい駆逐艦」を模索した結果、フォレスト・シャーマン級が造られることになりました。

設計

当初、ミッチャー級を基に小型化する計画がありましたが、最終的にはフレッチャー級を発展させた設計が採用されました。この級は、平甲板船型を採用し、高圧ボイラーと蒸気タービンを基にした推進機関を備えています。また、設計の改良も行われ、高い艦首乾舷を持つことで波の影響を受けにくい特性を持ちました。

装備

フォレスト・シャーマン級の武装は、アメリカの海軍伝統に基づいて対空能力が重視され、主砲として54口径127mm速射砲（Mk.42 5インチ砲）を3基搭載しました。また、近接防空用に76mm連装速射砲（Mk.33 3インチ砲）も装備されました。対潜兵器では、当初は曳航式のソナーを搭載し、対潜火力も充実させていました。

改装

1960年代に入ると、新たに開発されたミサイル兵器に対応するため、SCB-240計画による改修が進められました。この改修では、従来の砲塔を取り除きミサイルシステムを搭載するなどの大幅な装備変更が行われましたが、戦闘能力の向上は限定的であったため、改修を受けた艦は限られました。

配備と退役

フォレスト・シャーマン級は1960年代から70年代にかけてアメリカの空母戦闘群の一部として活躍し、トンキン湾事件にも参加しましたが、1970年代には新型艦との性能差が明らかになり、次第に運用が減少しました。最終的には1990年に全艦が退役し、その後は記念艦として保存されている艦もあります。

結論

フォレスト・シャーマン級駆逐艦は、アメリカ海軍の駆逐艦の中でも歴史的な意義を持つ艦級であり、冷戦時代の海上活動において重要な役割を果たしました。

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