フォレスト・シャーマン

フォレスト・パーシヴァル・シャーマン

フォレスト・パーシヴァル・シャーマン（Forrest Percival Sherman, 1896年10月30日 - 1951年7月22日）は、アメリカ海軍の大将で、海軍作戦部長を歴代最年少で務めたことで知られています。彼のキャリアは、第二次世界大戦とその後の海軍再建という激動の時代と密接に結びついています。

生涯

青年期

シャーマンは1896年、ニューハンプシャー州で生まれました。当初は海軍兵学校（アナポリス）への推薦が得られず、マサチューセッツ工科大学に進学しましたが、その後推薦を得て1914年にアナポリスに入学します。第一次世界大戦の影響で卒業が1年早められ、1917年にクラス2位の成績で卒業しました。同期にはトーマス・スプレイグ、クリフトン・スプレイグ、ジョセフ・J・クラークといった後の名将たちがいます。卒業後は、砲艦や駆逐艦での勤務を経て、戦艦の副長や駆逐艦の艦長を歴任しました。

航空への転身

1921年、シャーマンはかつての指導官の誘いで副官となり、その後航空への興味から海軍飛行学校に入学、1922年にパイロット免許を取得しました。戦闘機部隊での勤務や教官を経て、空母レキシントンやサラトガで航空士官として経験を積みました。1930年代にはアナポリスで教官を務め、海軍航空局では航空兵器担当課長として活躍しました。その後、空母レンジャーの航海長や艦隊司令長官の航空参謀も務め、着実にキャリアを重ねていきました。

第二次世界大戦

1940年、シャーマンは海軍作戦部で戦争計画に携わるようになります。真珠湾攻撃後には、アメリカ・カナダ陸海軍合同会議のメンバーにも選ばれました。彼は、陸軍の「勝利計画」に触発され、「1941年の勝利計画」を執筆し、陸海軍の連携を重視した戦略を提唱しました。

1942年、シャーマンは大佐に昇進し、空母ワスプの艦長に就任します。ワスプは太平洋に派遣され、ソロモン諸島方面の戦いに参加。しかし、1942年9月、日本の潜水艦の雷撃を受け沈没。シャーマン自身は救助されましたが、この沈没は彼のキャリアに大きな影響を与えると思われました。

帷幕の将

しかし、シャーマンの能力は、キング大将に見出され、太平洋航空部隊司令官の参謀長に任命されます。その後、太平洋艦隊司令部の作戦参謀に転じ、少将に昇進。彼は、中部太平洋方面への作戦立案に大きく貢献し、マーシャル諸島攻略作戦では、クェゼリン環礁を最初の目標とすることを主張し、その後の作戦展開に大きな影響を与えました。また、パウナル少将の更迭劇にも関わり、後任としてミッチャー少将を推薦しました。

1944年1月、シャーマンはニミッツ提督らと共に次期作戦に関する会合に出席し、マリアナ諸島攻略の重要性を説き、二方面作戦の再確認に貢献しました。その後も、ワシントンに赴き、キング提督らと作戦計画を協議するなど、重要な役割を果たしました。シャーマンは、数々の作戦計画に関わり、その卓越した能力を示しました。

海軍作戦部長

終戦後、シャーマンは海軍作戦部次長に就任、その後、地中海艦隊司令長官を務めました。1949年、彼は海軍作戦部長に昇進。歴代最年少での就任でした。しかし、就任直後から、海軍内部の建て直し、朝鮮戦争勃発といった難題に直面しました。彼は、海軍内の人事刷新を行い、将官会議を廃止するなど、改革を断行しました。さらに、極東とヨーロッパの両面で軍事作戦に対処しなければならず、心身ともに疲弊していったとされます。

急逝

1951年7月、シャーマンは北[[大西洋条約機構]]（NATO）関連の問題解決のため、スペインとイタリアに出張中、ナポリで心臓発作により急逝しました。54歳という若さでした。

人物

シャーマンは、アナポリス時代から秀才として知られていました。与えられた職務は全力で遂行するタイプで、その仕事ぶりは時に冷酷に見られることもありました。しかし、彼はキング、ニミッツ、タワーズ、スプルーアンスといった提督たちとの間では、ほとんど摩擦を起こすことはありませんでした。また、「提督たちの反乱」後には、批判的な発言をして干されていたアーレイ・バーク大佐の復権に尽力しました。バークは後にシャーマンの後を継ぎ、海軍作戦部長に就任することとなります。

受章

シャーマンは、海軍十字章、殊勲章、勲功章、パープルハート章など、数々の勲章を受章しました。

その他

フォレスト・シャーマン級[[駆逐艦]]やアーレイ・バーク級ミサイル[[駆逐艦]]の一隻が彼にちなんで命名されました。また、南極のシャーマン島、ペンサコーラ海軍航空基地の滑走路、アナポリスの病院区画の一角が「フォレスト・シャーマン・フィールド」と名付けられました。かつてナポリにあった国防総省の学校も「フォレスト・シャーマン・ハイスクール」と名乗っていました。

フォレスト・シャーマンは、その卓越した知性とリーダーシップで、激動の時代を駆け抜けたアメリカ海軍の名将でした。

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