フォークランド子爵

フォークランド子爵：歴史と系譜

フォークランド子爵位は、1620年に創設された由緒あるスコットランド貴族の爵位です。初代子爵ヘンリー・ケアリーはイングランド出身でありながら、スコットランド貴族に叙せられました。この爵位の歴史は、幾多のドラマチックな出来事、そして興味深い人物たちによって彩られています。

初代から近世までのフォークランド子爵たち

初代子爵ヘンリー・ケアリーは、1620年11月10日、「ケアリー卿」の称号と共にフォークランド子爵位を授けられました。その息子、2代子爵ルーシャスは、清教徒革命期に活躍した穏健派の政治家として知られています。王党派と議会派の調停を試みましたが失敗し、1643年の第一次ニューベリーの戦いで戦死しました。

その後、4代子爵ヘンリー、5代子爵アンソニーと、爵位は継承されていきます。5代子爵アンソニーは、海軍大臣を務めたトーリー党の議員でした。彼が男子をもうけなかったため、爵位は傍系のルーシャスに引き継がれ、6代子爵となりました。この6代子爵は、ジャコバイト王位継承者ジェームズ・フランシス・エドワード・ステュアートからフォークランド伯爵の称号を授けられ、ローマ・カトリックを容認したことで知られています。

10代子爵ルーシャス・ベンティンク・ケアリーは、植民地行政官を務めた自由党の政治家でした。彼は連合王国貴族にも叙せられましたが、子孫を残さなかったため、その爵位は廃絶しました。一方、スコットランド貴族の爵位は、弟のプランタジネットが継承しました。11代子爵となったプランタジネットは、海軍軍人で提督まで上り詰めた人物でした。

近代から現代までのフォークランド子爵たち

12代子爵バイロンは陸軍軍人としての経歴を持ち、スコットランドの貴族代表議員を務めました。その後、13代子爵ルーシャス、14代子爵ルーシャス・ヘンリー、そして現在の15代子爵ルーシャスと、爵位は代々受け継がれてきました。15代子爵は、1999年の貴族院法で認められた世襲貴族の一人であり、現在もフォークランド子爵位を保持しています。

フォークランド子爵とフォークランド諸島

フォークランド子爵の名は、スコットランドのフォークランド宮殿に由来します。興味深いことに、スコットランド貴族の爵位を有するケアリー家は、イングランド出身でした。さらに、フォークランド諸島は、5代子爵アンソニー・ケアリーが海軍主計長官だったことにちなみ、彼の爵位名から名付けられました。

ウェストミンスター宮殿の像

ウェストミンスター宮殿の聖ステファンホールには、フォークランド子爵の像が設置されています。1909年には、女性参政権活動家マージャリー・ヒュームが、この像に自らを縛り付けるという出来事がありました。その際に、子爵の像の一部が損壊されましたが、これは活動家の行為とは関係なく、設置直後から損壊していたという説もあります。

現在の当主と爵位

現在の15代フォークランド子爵ルーシャス・ケアリーは、フォークランド子爵位とケアリー卿の称号を保持しています。彼の法定推定相続人は、ルーシャス・アレグザンダー・プランタジネット・ケアリーです。

フォークランド子爵位の歴史は、スコットランド貴族の歴史、イギリス政治史、そしてフォークランド諸島と深く関わっています。この爵位は、今もなおその輝きを失わず、歴史の重みと現代の繋がりを繋ぎ続けています。

もう一度検索