フォーティ・リックス

ローリング・ストーンズの40周年記念盤『フォーティ・リックス』：多様な魅力を凝縮した2枚組ベストアルバム

2002年、ローリング・ストーンズはデビュー40周年を迎え、その記念すべき年にリリースされたのが2枚組ベストアルバム『フォーティ・リックス』(Forty Licks)です。40周年を記念して40曲が収録されており、バンドの歴史と多様な音楽性を凝縮した、まさに集大成と言える作品と言えるでしょう。

このアルバムの最大の特徴は、それまで所属してきた複数のレーベル（デッカ、ロンドン、アブコ、ローリング・ストーンズ・レコード）の楽曲を網羅している点です。これは、それまでのベスト盤では例を見ない画期的な試みであり、バンドの歴史を多角的に楽しめる構成となっています。

Disc 1には、1964年から1971年にかけて発表された楽曲が中心に20曲が収録されています。初期の代表曲から、すでに時代を超越した名曲の数々が含まれており、ストーンズの黄金期を鮮やかに再現しています。一方、Disc 2には1971年から1997年までの楽曲16曲に加え、新たに制作された4曲が収録されています。これにより、バンドの進化と成熟を長年にわたって追体験することが可能です。新曲4曲のうち「ドント・ストップ」はシングルカットされ、大きな話題を集めました。

しかし、Disc 2には1971年以降約30年間の膨大な楽曲から選曲する必要があったため、人気曲であっても収録されなかったものが数多く存在します。特に、1986年発表のアルバム『ダーティ・ワーク』からは1曲も選出されていません。これには明確な理由は明かされていませんが、先行シングルがカバー曲であったことや、当時のメンバー間の関係が良好ではなかったといった説が囁かれています。

『フォーティ・リックス』は、通常版以外にも複数のバージョンがリリースされました。収録曲の一部を変更したり、ジャケットのデザインや写真を変更したりしたバージョンに加え、LPサイズのボックスに封入されたデラックス・エディションや来日記念バージョンなど、コレクター垂涎のコレクターズアイテムも存在します。デラックス・エディションでは、「シーズ・ア・レインボー」の代わりに「悪魔を憐れむ歌」のリミックスバージョンが収録されている点が大きな違いです。

収録されている楽曲は、ミック・ジャガーとキース・リチャーズによる共作がほとんどを占めていますが、一部例外としてチャールズ・ハーディンとノーマン・ペティによる「ノット・フェイド・アウェイ」や、ミック・ジャガー、キース・リチャーズ、k.d.ラン、ベン・ミンクによる「エニバディ・シーン・マイ・ベイビー」などが含まれています。

アルバムリリース後には、「ROLLING STONES LICKS WORLD TOUR 2002/03」と題された大規模なワールドツアーが開催されました。2002年9月3日にボストンから始まり、2003年11月まで138公演にも及ぶ長期ツアーは、インドや香港などにも及ぶ大規模なものでした。このツアーは、日本でも6公演行われ、大きな話題となりました。

『フォーティ・リックス』は、単なるベストアルバムの枠を超えた、ローリング・ストーンズの集大成と言える作品です。その音楽的な魅力はもちろん、様々なバージョンやツアーを通して、バンドの多様な側面を垣間見ることができる、まさに40周年を象徴する記念碑的なアルバムと言えるでしょう。

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