シーズ・ア・レインボー

シーズ・ア・レインボー：ローリング・ストーンズの隠れた名曲

ローリング・ストーンズの楽曲「シーズ・ア・レインボー」(She's a Rainbow)は、1967年発表のアルバム『サタニック・マジェスティーズ』に収録された、バンドの代表曲の一つとして知られています。ミック・ジャガーとキース・リチャーズによって作詞作曲されたこの曲は、アメリカを始め世界各国でシングルカットされ、その後も数々のコンピレーションアルバムに収録され続けています。

制作からレコーディングまで

楽曲は、客引きの声と群衆のざわめきで幕を開けます。レコーディングは1967年5月18日、ロンドンのオリンピック・スタジオで行われました。キース・リチャーズは後年のインタビューで、制作当初は「オルゴールのようなサウンド」を目指していたと語っています。このイメージを実現するため、バンドとプロデューサーのアンドリュー・ルーグ・オールダムは、細心の注意を払って制作に取り組みました。ちなみに、楽曲制作時のタイトルは「Flowers in Your Bonnet」だったそうです。

サウンド面では、ニッキー・ホプキンスによるバロック調のピアノイントロが印象的です。スピードを上げたバッキングボーカル、ジョン・ポール・ジョーンズによるストリングスアレンジ、ミュートされたエレキギターやパーカッションなど、多様な楽器とアレンジが組み合わさり、独特のサイケデリックな雰囲気を作り上げています。

リリースと商業的成功

1967年12月にシングルとしてリリースされた「シーズ・ア・レインボー」は、アメリカのBillboard Hot 100で最高25位を記録しました。その後、『スルー・ザ・パスト・ダークリー (ビッグ・ヒッツ Vol.2)』、『モア・ホット・ロックス』など、数多くのコンピレーションアルバムに収録され、長きにわたって愛され続けています。近年では、1999年の5色のiMacのテレビCMや、2015年の日本の進研ゼミのCMなど、様々なメディアで使用され、新たな世代にも広く知られるようになりました。

ライブパフォーマンスと評価

ライブ初披露は1997年から1998年の「ブリッジズ・トゥ・バビロン」ツアー。その後、2016年の「アメリカ・ラティーナ・オレ」ツアーでも演奏されました。

音楽評論家からの評価も高く、オールミュージックのブルース・エダーは、この曲を「ミック・ジャガーとキース・リチャーズがローリング・ストーンズのために書いた中で、最も美しく、最もらしい曲」と評しています。一方で、「ジャガーの美徳を讃えるトルバドゥールなのか、それとも征服者を欲情するサテュロスなのか判断がつかない」など、複雑な魅力も指摘しています。「ooo-la-la」というコーラスについても、その大仰さや異様さを評しています。

ミック・ジャガー自身は、『サタニック・マジェスティーズ』全体については低評価を示しているものの、「シーズ・ア・レインボー」と「2000光年のかなたに」だけは「いい曲だ」と評価しています。

参加ミュージシャン

ローリング・ストーンズ

ミック・ジャガー：リードボーカル、ハーモニーボーカル、タンバリン
キース・リチャーズ：アコースティックギター、リードギター
ブライアン・ジョーンズ：メロトロン
ビル・ワイマン：ベース
チャーリー・ワッツ：ドラム
その他：バッキングボーカル、パーカッション

外部ミュージシャン

ニッキー・ホプキンス：ピアノ
ジョン・ポール・ジョーンズ：ストリングスアレンジ
* その他：ストリングス

カバーバージョン

「シーズ・ア・レインボー」は、多くのアーティストによってカバーされています。その中には、1994年にロンドン交響楽団がアルバム『Symphonic Music of the Rolling Stones』でカバーしたバージョンや、2020年にモリー・タトルがアルバム『But I'd Rather Be With You』に収録したバージョンなどが含まれます。

まとめ

「シーズ・ア・レインボー」は、サイケデリックなサウンドと複雑な歌詞、そして時代を超越した魅力を兼ね備えた、ローリング・ストーンズの代表曲の一つです。その洗練されたサウンドと、時に曖昧で謎めいた歌詞は、リスナーに多様な解釈を促し、長く愛され続ける理由となっています。

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