フォートウェイン・ケキオンガス

フォートウェイン・ケキオンガス：幻の初代勝利チーム

フォートウェイン・ケキオンガス（Fort Wayne Kekiongas）は、1871年にアメリカ合衆国インディアナ州フォートウェインを本拠地として、短期間のみ存在したプロ野球チームです。ナショナル・アソシエーションという初期のプロ野球リーグに所属し、リーグ最初の勝利を飾ったものの、その歴史は長くはありませんでした。

球団の歴史

ケキオンガスの起源は、1862年にフォートウェインの若者たちが結成した『サミット・シティ・クラブ』という野球クラブに遡ります。地元の資産家、アレン・ハミルトンが土地を寄付し、ハミルトン・フィールドという野球場が建設されると、そこが本拠地となりました。1866年には『ケキオンガ・ベースボール・クラブ』として正式なクラブ組織となり、1869年には当時最強を誇ったシンシナティ・レッドストッキングスとも2試合を行った記録が残っています。その後、チームはインディアナ州の大会で優勝を果たし、1870年には新しい球場「ケキオンガ・ボール・グラウンズ」が建設され、本拠地をそこに移しました。

1871年、ナショナル・アソシエーションが創設されると、解散したボルチモア・メリーランド・クラブから主力選手を招集し、リーグに参加しました。チームはコイントスの結果、記念すべきリーグの開幕試合を行う栄誉を得ます。そして1871年5月4日、クリーブランド・フォレストシティーズとの試合に2-0で勝利し、アメリカのプロ野球リーグにおける最初の勝利チームとなったのです。

しかし、その後の運営は困難を極めました。集客が伸び悩み、選手への給料支払いが滞るなど、財政状況は不安定でした。さらに、ボルチモアから加入した選手たちがホームシックにかかり、故郷へ帰ってしまうという事態も発生しました。結局、ケキオンガスは同年8月までに19試合を消化した時点でリーグを離脱し、解散という結末を迎えることになりました（ブルックリン・エックフォーズに吸収合併されたという資料も存在します）。

戦績と主な選手

短命に終わったケキオンガスですが、いくつかの記録と記憶に残る選手を輩出しました。

所属した主な選手

ボビー・マシューズ: アメリカプロ野球リーグ史上、最初の勝利投手。後に防御率1位を1度、最多奪三振を3度獲得するなど、実力のある選手でした。
ジム・フォーラン: 一塁手として打率.348を記録しました。

主な球団記録

通算安打数：31（ジム・フォーラン）
通算打点数：18（ジム・フォーラン）
通算勝利数：6（ボビー・マシューズ）

まとめ

フォートウェイン・ケキオンガスは、アメリカプロ野球の歴史において、最初の勝利チームとしてその名を刻んでいます。しかし、運営難や選手の離脱により、短期間で解散を余儀なくされました。その短い歴史は、黎明期のプロ野球の厳しさを物語るとともに、初期の野球チームの隆盛と衰退の縮図とも言えるでしょう。

出典・外部リンク

チーム索引(Baseball Reference)
Franchise Info（英語）
SABR.org (Kekionga Ball Grounds)

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