フォード・クラウンビクトリア

クラウンビクトリア：アメリカのフルサイズセダン

概要

クラウンビクトリア（Crown Victoria）は、フォード・モーターが製造したフルサイズセダンです。アメリカで最も愛される自動車の一つであり、パトカーやタクシーとしての使用が広く知られています。そのシンプルなデザインと耐久性から、特に保守的な顧客層に人気を集めました。

クラウンビクトリアは、ラダーフレームと後輪駆動（FR）レイアウトを基盤にした構造を持ち、フォード、マーキュリー・グランドマーキー、リンカーン・タウンカーと共通するパンサープラットフォームを採用しています。このプラットフォームは30年以上にわたって使用され、改良が重ねられてきましたが、他の自動車メーカーの進化に比べると古さが否めませんでした。それでもなお、アメリカの文化において強い存在感を示しています。

総生産台数は150万台を超え、2008年から2011年にはフリートセールス専用の販売が行われました。特に2007年の北米自動車ショーで発表されたリンカーン・MKSやフォード・トーラスが実質的な後継モデルと見なされています。

車名の歴史

クラウンビクトリアの名前は、1955年に発表された2ドアクーペのモデルから名付けられました。その後、フォード・LTDの上級トリムとして位置付けられ、1991年には新たなモデルが発表されました。初代クラウンビクトリアは、豪華さと快適性を兼ね備えたデザインで、特にエアロダイナミックな形状が印象的でした。

モデルの進化

初代（1992-1997年）

この期間に登場したクラウンビクトリアは、丸みを帯びたデザイン変更を受け、1993年からはグリルが追加されるなど改良が施されました。

2代目（1998-2012年）

1998年にフルモデルチェンジが行われ、デザインは大きなヘッドライトやバンパーを採用したものになりました。同年からはサスペンションが改良され、より快適な乗り心地を実現しています。エンジンには4.6L V8エンジンが搭載され、最大215馬力を発揮しました。特に法務機関向けのポリスインターセプターグレードも人気を集めています。

パトカーとしての人気

クラウンビクトリアは、その頑丈さと安定感からアメリカのパトカー市場で非常に高いシェアを誇りました。製造終了後も多くの中古車がタクシーや個人の車両として利用されており、アメリカの文化に深く根付いています。また、タクシー業界では長年にわたり主力車両として活躍し続けています。

安全性問題

これだけ普及しているクラウンビクトリアですが、過去には燃料タンクの発火危険性について訴訟が起きたことがあります。特に1996年から2001年モデルにおいては、設計上の問題が指摘され、改良が試みられました。

日本での流通

日本市場では、クラウンビクトリアの正式な輸入は行われていないものの、並行輸入により少数の車両が存在します。特にポリスインターセプター仕様の車両は、一部の自動車愛好家の間で評価されています。

まとめ

クラウンビクトリアは、アメリカの自動車文化においてシンボリックな存在であるといえます。パトカーやタクシー心にしっかりと根を下ろしたそのデザインと性能は、多くの人々に愛され続けています。

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