フォード・テリトリー

フォード・テリトリー：オーストラリアを代表するSUV

フォード・テリトリーは、フォード・オーストラリアが2004年から2011年にかけて製造・販売していたSUVです。同社が製造するファルコンをベースに開発され、発売と同時に高い人気を獲得しました。その人気の背景には、パワフルなエンジン、先進の安全技術、そしてオーストラリアの過酷な環境にも耐えうる堅牢な設計など、数々の魅力が挙げられます。

開発と販売

テリトリーは、社内コード名「E265」として開発され、4年の歳月と5億オーストラリア・ドルもの巨額の開発費が投じられました。その結果、2004年4月のデビューと同時に、権威あるオーストラリアの自動車雑誌『Wheels』が選ぶ「Wheels Car of the Year」を受賞する快挙を成し遂げました。

当初は、ファルコン・ワゴンの生産ラインを共用し、販売も並行して行われました。フォード社は、テリトリーの導入によってファルコン・ワゴンの生産を早期に終了する計画でしたが、フリートユーザーからの根強い需要により、2010年まで両モデルの生産が継続されました。テリトリーの外観デザインは、北米で同時期に発売されたトーラスXと共通点が見られるとされています。

販売はオーストラリア国内にとどまらず、2005年には南アフリカ、2006年にはタイへの輸出も開始され、グローバルな人気を博しました。

モデルバリエーションと特徴

テリトリーは、いくつかのモデルバリエーションが設定されました。

SX (2004年-2005年):

最初のモデルとなるSXは、ファルコンと共通の4.0L直列6気筒DOHC Barraエンジンを搭載。最高出力182kW(244hp)を誇り、4速オートマチックトランスミッションと組み合わされました。駆動方式は2WD(後輪駆動)とAWD(四輪駆動)が選択可能でした。グレードはTX、TS、Ghiaの3種類が設定され、安全装備ではサイドカーテンエアバッグとESC（電子制御スタビリティプログラム）がオーストラリア製の乗用車としては初めて標準またはオプション装備として設定されました。ニュージーランド仕様は、オーストラリア仕様と比較して外装の一部に違いが見られました。

SY (2005年-2009年):

2005年10月にはマイナーチェンジ版のSYが登場しました。エンジン出力は190kW(250hp)に向上し、AWDモデルにはZF製の6速オートマチックトランスミッションが採用されました。また、オーストラリア製の乗用車として初めてリア・パーキングカメラが装備され(TSはオプション、Ghiaは標準装備)、安全性能の更なる向上が図られました。2006年には、最高出力245kW(329hp)のターボモデルが追加されました。

SY II (2009年-2011年):

2009年のメルボルン国際モーターショーで発表されたSY IIは、内外装のデザイン変更とサスペンションの改良が施されたマイナーチェンジモデルでした。

SZ (2011年-):

最終モデルであるSZについては、資料が不足しているため詳細は不明です。

まとめ

フォード・テリトリーは、パワフルなエンジン、先進の安全装備、そしてオーストラリアの過酷な環境に対応できる高い信頼性で、オーストラリアの自動車市場において高い人気を誇りました。オーストラリア自動車史に大きな足跡を残した名車と言えるでしょう。

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