フォード劇場

フォード劇場国立史跡：アメリカ大統領暗殺の舞台とその後

ワシントンD.C.のフォード劇場は、アメリカの歴史において最も悲劇的な出来事の一つ、エイブラハム・リンカーン大統領暗殺の舞台として知られています。1865年4月14日、リンカーン大統領はここで観劇中に、ジョン・ウィルクス・ブースによって暗殺されました。この事件は、アメリカ国民に深い悲しみと衝撃を与え、その後も人々の記憶に深く刻み込まれています。

劇場の歴史：教会から劇場へ、そして史跡へ

フォード劇場の場所は、元々は1833年に建てられたバプテスト教会でした。1861年、ジョン・T・フォードが教会の権利を取得し、劇場に改装しました。当初は「フォード文芸振興館」と呼ばれていましたが、1862年には火災で全焼。翌年、「フォード新劇場」として再建されました。

リンカーン大統領暗殺事件後、劇場は閉鎖され、その後はアメリカ陸軍によって使用されました。1階は陸軍局の記録保管所、2階は米国国立医学図書館や国立健康医学博物館として活用されました。1893年には建物崩壊事故が発生し、多数の死傷者を出しました。この事故は、劇場にまつわる怪奇現象や呪いの噂を生むことにもなりました。

その後、修復された劇場は政府保税倉庫として使用されましたが、1967年に劇場復興のための資金提供が承認されるまで、長らく放置された状態が続きました。1970年にフォード劇場は再び劇場として開場し、現在に至るまで現役で、同時にリンカーン大統領暗殺の史跡として保存されています。劇場地下階には、リンカーン関連資料を収蔵した博物館も併設されています。

リンカーン大統領の最期：ピーターセンハウス

暗殺されたリンカーン大統領は、近くのピーターセンハウスという民宿に運び込まれました。大統領は、通りを挟んで向かい側にあるこの宿舎の寝室で息を引き取りました。ピーターセンハウスでは、大統領の最期の瞬間を多くの関係者が見守っていました。リンカーン夫人のメアリー・トッドも、大統領のそばに付き添いました。

大統領の暗殺事件後、ピーターセンハウスは、アメリカ国民にとって重要な歴史的場所となりました。多くの見物人が訪れ、大統領の死を悼みました。

運営と保存

フォード劇場とピーターセンハウスは、1970年にフォード劇場国立史跡として統合され、現在もナショナル・モール＆記念公園管理局によって運営・保存されています。これらの史跡は、アメリカ合衆国の歴史と、エイブラハム・リンカーン大統領の生涯を理解する上で非常に重要な役割を果たしています。劇場では、今も様々な公演が行われ、多くの人が訪れる観光地となっています。

今後の展望

フォード劇場は、アメリカの歴史を伝える重要な場所として、今後も保存・活用されていくでしょう。歴史的建造物としての価値と、現役の劇場としての役割を両立させながら、未来へと歴史を繋いでいくことが期待されます。多くの観光客や研究者が訪れ、歴史を学び、大統領暗殺事件の教訓を未来に伝える場所として、その役割を果たし続けることでしょう。また、定期的に行われる改修工事や、新しい展示の導入などを通して、来場者にとってより魅力的な史跡となるよう、更なる発展が期待されます。

もう一度検索