フォーメーションラップ

フォーメーションラップ：レース開始前の準備周回

フォーメーションラップとは、自動車レースにおいて、スタート直前にドライバーがグリッドに整列するために走行する1周のことで、ローリングラップとも呼ばれます。この周回では、ドライバーはスタート位置に付き、レース開始の準備を整えます。通常、1周のみですが、レースの状況によっては複数周回に及ぶこともあります。

フォーメーションラップの目的

主な目的は、全車がスタートライン上に整列することです。スタンディングスタートの場合は、まず仮のグリッド（ダミーグリッド）に並び、その後フォーメーションラップで最終的なグリッド位置を確認します。ローリングスタートの場合は、ペースカーの先導のもと、スタート時の隊列を整えます。

しかし、フォーメーションラップはグリッドへの整列以外にも重要な役割を果たします。ドライバーは、この周回を利用して路面状況を確認したり、タイヤをウォームアップしたりします。タイヤの温度を上げるためには、蛇行走行よりも加減速を繰り返す方が効果的です。

さらに、フォーメーションラップにはセーフティカーが最後尾に付き、車両のトラブル発生時などに迅速な対応を可能にします。セーフティカーは、最後尾を明確にするだけでなく、トラブル発生車両の発見にも貢献します。多くの場合、フォーメーションラップ終了時には、グリッドの整列状況を確認する役割も担っています。

スタート方法による違い

スタンディングスタート

スタンディングスタートでは、まずダミーグリッドと呼ばれる仮のグリッドにマシンを並べます。その後、フォーメーションラップで隊列を整え、スターティンググリッドを確定します。

ローリングスタート

ローリングスタートでは、ペースカーの先導のもと、スタート時の隊列に整列します。隊列が整っていないと判断された場合は、複数周回に及ぶこともあります。SUPER GTの決勝では、ブレーキウォームアップを目的としたウォームアップラップを兼ねたパレードラップが行われ、計2周走行します。1周目は地元警察が先導し、2周目はペースカーが先導します。

フォーメーションラップ中のトラブルと対応

フォーメーションラップ中にトラブルが発生した場合、その対応はレースによって異なりますが、一般的には以下のようになります。

車両の停止: フォーメーションラップに参加できない場合は、ピットに回収され、ピットスタートとなります。
隊列からの脱落: 一定の条件下では元の位置に戻ることが可能ですが、不可能な場合は最後尾スタートまたはピットスタートとなります。
* フォーメーションラップ開始後のトラブル: 全車がフォーメーションラップを開始した後でも、ダミーグリッドを離れられなかった車両は最後尾になります。

これらの規則はレースによって微妙に異なるため、詳細は各レースの規則書を参照する必要があります。有名な例として、1994年のF1イギリスグランプリでミハエル・シューマッハがフォーメーションラップ中に違反行為を繰り返し、ペナルティを受けた事例があります。

フォーメーションラップ中のリタイア

フォーメーションラップ走行中にトラブルにより走行不能になった場合は、リタイア（DNS: Did Not Start）として記録されます。「0周リタイア」と呼ばれることもあります。ただし、レース出走に数えないとする解釈もあります。1991年のF1サンマリノGPのアラン・プロストや、1996年のF1フランスGPのミハエル・シューマッハなどが、フォーメーションラップ中にリタイアした例として挙げられます。ただし、1995年のF1イタリアGPでは、ポールシッターのコースアウトが原因で多重クラッシュが発生し、決勝がやり直されたため、コースアウトしたドライバーがレースに復帰した珍しい事例もあります。

まとめ

フォーメーションラップは、レース開始前の重要な準備段階であり、ドライバー、チーム、そしてレース運営にとって、安全で公平なレースを行う上で欠かせないものです。

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