フクジュソウ

フクジュソウ（福寿草）

フクジュソウ（学名：Adonis ramosa）は、キンポウゲ科に属する多年草で、早春の訪れを告げる代表的な花の一つです。別名としてガンジツソウ（元日草）とも呼ばれます。フクジュソウという名前は、新春を祝う意味合いから縁起物として付けられました。しかし、全草に毒性があるため注意が必要です。

特徴

日本には、フクジュソウ（エダウチフクジュソウ）、ミチノクフクジュソウ、キタミフクジュソウ、シコクフクジュソウの4種が自生しています。

フクジュソウ（エダウチフクジュソウ）: 北海道から九州にかけて広く分布し、茎が中実であることが特徴です。複数の花を咲かせます。
キタミフクジュソウ: 北海道東部にのみ自生し、全体的に毛が多く、茎が中実です。一株に一輪しか花を咲かせないのが特徴です。種小名の amurensis は「アムール川流域の」という意味です。
ミチノクフクジュソウ: 東北地方から九州にかけて分布し、茎が中空で、萼が花弁の半分程度の長さであることが特徴です。萼と花弁の長さで他の種と見分けることが可能です。
シコクフクジュソウ: 四国と九州の一部に分布し、全草が無毛で、茎が中空であることが特徴です。

花期は早春で、3-4cmの黄色い花を咲かせます。開花当初は、茎が短く、花だけが目立ちますが、次第に茎や葉が伸びていきます。花弁は日光を花の中心に集め、その熱で虫を誘引します。そのため、太陽光に応じて花を開閉します。葉は細かく分かれ、夏になると地上部が枯れます。春に花を咲かせ、夏に光合成を行い、残りの期間は地下で過ごします。いずれの種も石灰岩質の土壌を好みます。

毒性

フクジュソウの根はゴボウのように太く、多数あります。全草、特に根に強い毒性があり、アドニンという成分が主な毒性原因と考えられています。シマリンやアドニトキシンも検出されており、特にシマリンは調理残留の報告があるため、薬毒の主体である可能性も指摘されています。強心作用や利尿作用があるため、民間薬として利用されることもありますが、素人が利用すると死に至る危険性があります。芽が出たばかりの頃はフキノトウと間違えやすく、若葉はヨモギの葉に似ているため、誤食に注意が必要です。中毒症状としては、嘔吐、呼吸困難、心臓麻痺などがあり、重症の場合は死亡します。

文化

フクジュソウは春の訪れを告げるスプリング・エフェメラル（春植物）の代表的な存在です。そのため、元日草や朔日草という別名も持っています。福寿草という和名も、新春を祝う意味合いがあり、縁起の良い植物として古くから栽培されてきました。江戸時代から園芸品種も多く作られ、「福寿海」をはじめ、緋色や緑色の花を咲かせる品種もあります。アイヌ語ではフクジュソウを「チライアパッポ」と呼び、これはイトウ（魚）の花という意味です。フクジュソウが咲く頃に、湿原の川をイトウが遡上してくることから名付けられました。

正月にはヤブコウジなどと寄せ植えにしたものが販売されますが、フクジュソウは根がよく発達しているため、小さな鉢に植えると根を切り詰める必要があり、開花後に衰弱してしまいます。翌年も花を咲かせるためには、大きく深い鉢に植えられたものを選ぶか、庭に植えることをお勧めします。郵政省発行の切手の意匠にも採用されており、その美しい姿が人々に愛されています。

シンボル

多くの自治体がフクジュソウを町の花、村の花として指定しています。過去に指定していた自治体もあります。

北海道: 歌登町（現・枝幸町）、東藻琴村（現・大空町）
青森県: 相馬村（現・弘前市）、岩崎村（現・深浦町）、南郷村（現・八戸市南郷区）
秋田県: 金浦町（現・にかほ市）
岩手県: 新里村（現・宮古市）
福島県: 表郷村（現・白河市）
栃木県: 馬頭町（現・那珂川町）
埼玉県: 花園町（現・深谷市）、川本町（現・深谷市）
長野県: 木曽福島町（現・木曽町）、四賀村（現・松本市）
富山県: 井口村（現・南砺市）
岐阜県: 河合村（現・飛騨市）
奈良県: 西吉野村（現・五條市）
徳島県: 木頭村（現・那賀町）

参考画像

（画像の表示は省略します）

脚注

環境省レッドリスト：かつては絶滅危惧II類に指定されていましたが、2007年の見直しでランク外となりました。
福寿草公園：青森県深浦町、長野県松本市などにあります。

外部リンク

中毒事例報告のある有毒[[植物]]-フクジュソウ（東京都福祉保健局）
フクジュソウ

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