フッ化物洗口

フッ化物洗口について

フッ化物洗口（フッかぶつせんこう）は、フッ化物を含む溶液を用いて行ううがいのことを指します。この方法は、歯のエナメル質にフッ化物を浸透させることで、虫歯の発生を防ぐ効果があります。手軽に行える上、コストも比較的安価なため、特に学童期の永久歯の虫歯予防に効果的です。この洗口法は、定期的な歯面塗布やフッ化物を含む歯磨き粉と併用しても問題なく、成人や高齢者にとっても有益な虫歯予防手段となります。

フッ化物洗口の実績

コクラン共同計画の研究によると、フッ化物洗口を行った場合、永久歯の虫歯を歯面数で平均27%、歯数で平均23%減少させるとされています。この効果は、フッ化物配合の歯磨きやフッ化物が添加された水道水を利用している場合でも維持されます。2000年には、全世界で約1億人がこの洗口法を利用しており、2019年度には日本国内で14,158の施設、1,526,857人が実施していることが確認されています。

フッ化物洗口は、学校や職場などで集団で行われることが多く、この取り組みは「集団フッ化物洗口」として位置づけられています。

フッ化物洗口の歴史

フッ化物洗口の歴史は、1945年に水道水にフッ化物が添加されたことに始まります。局所的な応用法に関する研究は1943年から始まり、フッ化ナトリウムや酸性リン酸フッ化物の効果が検証されました。1960年代にはアメリカで公衆衛生手法として広まり、整った研究基盤のもと、アメリカ食品医薬品局によりいくつかの洗口法が認可されました。

日本では、フッ化物洗口が普及し始めたのは1970年からで、2002年までには約30万人の児童が参加をしていました。2003年には厚生労働省がガイドラインを発表し、その後実施が拡大していきます。

効果と健康格差の改善

フッ化物洗口には虫歯の発生を抑える効果があるだけでなく、健康格差の縮小にも寄与することが研究によって示されています。家庭環境に関係なく、学校などの集団環境で行うことにより、平等に虫歯予防が実施されるためです。特に、フッ化物洗口が普及した地域では、社会経済的な背景にかかわらず、虫歯の発生率が大幅に改善されていることが示されています。

有害事象とその安全性

フッ化物洗口は、コクラン共同計画の報告によれば有害事象がほとんど報告されていません。国際がん研究機関は、飲料水中の無機フッ素化合物を安全性の高いものであるとしています。また、洗口に使用されるフッ化物の濃度は、一般的なフッ化物配合の歯磨き粉と同等かそれ以下であるため、安全性の面でも信頼されています。

フッ化物洗口ガイドラインの充実

2003年には厚生労働省がフッ化物洗口の普及を目的としたガイドラインを発表し、その結果、全国の多くの自治体が条例案を可決しています。また、日本学校歯科医会は学校におけるフッ化物洗口の取り組みを評価し、さらなる普及を促進しています。

地域ごとの取り組み

各地域におけるフッ化物洗口の実施状況はさまざまで、佐賀県や新潟県などでは高い実施率を誇っています。政令指定都市でも、近年フッ化物洗口の取り組みが増加しており、健康維持の手段としての重要性が認識されています。

まとめ

フッ化物洗口は、虫歯予防の効果的な手段として多くの国々で実施され、特に子どもたちに対して有益な取り組みです。予防効果や社会的な健康格差の改善に貢献していることから、今後もこの手法の普及が期待されます。

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