フューチャー・コンバット・システム

フューチャー・コンバット・システム（FCS）

フューチャー・コンバット・システム（Future Combat System、FCS）は、アメリカ国防総省及び陸軍が、イラクやアフガニスタンにおける非正規軍との戦闘に対応するために推進した兵力近代化プロジェクトです。この構想は、総計1,600億ドルという巨額の投資が見込まれており、21世紀の戦闘に必要な新たな戦略および技術の開発を狙ったものでした。

概要

FCSは、戦闘車両や無人偵察機、戦闘ロボット、そして電子装備を装着した兵士を情報通信ネットワークで一体的に運用することを目指していました。このシステムは、地上部隊の戦闘力を劇的に向上させることが期待されており、特に無人偵察機や持ち運び可能な無人車両、GPSを駆使して敵の情報をリアルタイムで集約することによって、部隊は最小限の人員で効果的な打撃を加えることを志向しました。具体的には、得られた情報は兵士のヘルメットに装着された小型スクリーンや戦闘車両に送信され、双方向での情報共有を可能にしていました。また、戦闘車両の軽量化により、緊急時の展開能力が向上し、有事の際に紛争地域への投入までの時間を従来よりも30%短縮するとされていました。

現状と中止

しかし、FCSの開発は計画通りには進行せず、一部の兵器の開発が遅れ、予算も当初の見積もりを超える懸念が示されました。2009年4月に行われた国防予算の発表において、ロバート・ゲーツ国防長官がこの計画の打ち切りを宣言しました。その結果、FCSの代わりとして旅団戦闘団の近代化構想が提示され、有人車両についてはGround Combat Vehicle（GCV）の開発に移行しました。しかし、2014年にはすべての装備開発が中止されたことが報告され、FCSプロジェクトには2009年までに350億ドル以上が費やされたにもかかわらず、実戦配備は1つも実現しませんでした。

システムの詳細

FCSは、以下のような主要なシステムで構成されていました：

• - FCS Network：全ての要素を統合する情報通信ネットワーク。
• - 有人地上車両（Manned Ground Vehicles）：XM1201 RSV、XM1202 MCS（主力戦車の後継）、XM1203 NLOS-C（自走榴弾砲）などが含まれる。
• - 無人地上車両（Unmanned Ground Vehicles）：XM1216 SUGV等、様々な無人車両が開発予定。
• - 無人航空機（UAV）：XM156やXM157など、無人機も多数企画されていました。
• - 無人地上センサー（UGS）：AN/GSRシリーズのセンサーが配置される計画でした。

他にも多くのサブシステムが組み込まれていました。

関連項目

FCSに関連する追加の技術や構想も存在し、クアッド・ティルトローターは有人車両の輸送のために考案されました。これらの取り組みは、米軍の未来戦闘能力を更に高めることを目指しています。このように、FCSは革新的な戦闘技術の結集を目指したものでありましたが、その実現には至らなかったという、重要な歴史的な試みとして記憶され続けることでしょう。

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