フョードル・ロストプチン

フョードル・ヴァシーリエヴィチ・ロストプチンの生涯

フョードル・ヴァシーリエヴィチ・ロストプチンは1763年3月23日にオリョール州の小貴族の家庭に生まれました。彼は幼少期を過ごした後、ドイツ、フランス、イギリスで教育を受けました。学びを終えた後、ロシア帝国陸軍に入隊し、アレクサンドル・スヴォーロフ将軍の指揮のもとで1787年から1792年までの露土戦争に参加しました。これにより、早くも軍事的な経験を積み上げていきました。

宮廷勤務とパーヴェル1世の時代

1792年に宮廷の職務に就くと、ロストプチンは皇太子パーヴェルを支持したことで一時的に左遷されました。しかし、1796年にパーヴェルが即位すると、彼は多くの領地を与えられ、1799年には外務参議会長官に任命されました。しかし、当時の国際情勢は複雑で、ロストプチンはフランスとの緊張関係を抱える中で、内政への専念を求め、戦争終結を目指しました。しかし、1801年にパーヴェルが暗殺された後、彼は政権から一時的に外れる結果となりました。

アレクサンドル1世の治世と1812年ロシア戦役

アレクサンドル1世が即位した後は、ロストプチンはしばしば田舎に隠遁していましたが、彼の名声は1807年発表の反仏パンフレット『シーラ・ボガトゥイリョフ』によって一気に高まりました。そして、1812年の5月、彼はモスクワ総督に任命されました。彼はこの役割において、「ロストプチンのビラ」と呼ばれるビラを作成し、国民の愛国心を鼓舞しました。

しかし、同年9月2日に発生したモスクワ大火は彼の名声を著しく傷つけました。この火災について、ロストプチンがその責任を負わなかったとする意見や、彼が実際に火を放つ計画を立てていたという説が対立しています。彼自身は1823年に『モスクワ大火の真実』で、ナポレオンが主犯と異論をとなえましたが、時代が進むにつれ、マスコミや歴史家の間で彼の関与の可能性が賛否を呼ぶことになりました。

フランス軍撤退後、ロストプチンは民衆による略奪の停止を訴えるビラを発行し、地元の英雄たちへメダルを授与しました。

ウィーン会議と晩年

1814年から1815年にかけて行われたウィーン会議にはアレクサンドル1世とともに出席しましたが、その後すぐに失脚。そして1825年に帰国したフョードル・ロストプチンは、1826年1月30日にモスクワで亡くなりました。

大衆文化におけるロストプチン

彼の生涯は文学の中でも語り継がれており、著名な作家レフ・トルストイの小説『戦争と平和』にも登場人物として登場します。彼の複雑な人生と歴史的背景は、今なお研究者たちに注目され続けているテーマとなっています。

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