計器飛行方式

計器飛行方式（IFR）について

計器飛行方式、通称IFR（Instrument Flight Rules）は、航空機が視界と航空計器の両方を活用して飛行を行う方式です。この方式では、常に航空管制官の指示に従い、管制圏及び管制区の外では航空管制運航情報官が提供する情報を受信しながら飛行します。IFRの最も重要な利点の一つは、視界に関する制約がなくなることです。従来の有視界飛行方式（VFR）では、気象条件に依存しなければならないのに対し、IFRにおいてはおおむねその制約が緩和されます。

IFRと計器飛行の違い

「計器飛行」という用語は、航空機の姿勢・高度・位置及び針路の測定を主に航空計器に依存して行う飛行を意味します。「計器航法による飛行」とは、航空機の位置及び針路を計器のみに依存して測定することを指します。これらは非常に似た概念ですが、混同しないように注意が必要です。

また、IFR飛行中でも晴れた空や良好な視界 condition（VMC）が維持される場合には、自機の航路上に他の航空機がいる可能性があるため、操縦者は外の状況に目を配る必要があります。これを「見張り義務」と呼びます。さらに、飛行中にVFRからIFRへの切り替えが可能であり、またその逆も行うことができます。

飛行計画と管制

IFRでの飛行を行う際には、出発の2時間前に飛行計画書を提出する必要があります。この計画書をもとに、管制官は自分の担当区域内の航空交通を把握します。こうして、たとえ雲の中で外が見えない状況であっても、計器によって正確に位置や高度を把握し、管制官の指示に従って他の航空機や障害物を避けながら安全に飛行することが可能です。

現代では、航空機同士が相対速度で2000 km/h以上になることも珍しくありません。さらに、航空路とアビオニクスの発展により、空中衝突防止の観点から定期便は全てIFRで運航されています。また、定められた気象条件を満たさない場合は、定期便であってもすべての航空機（飛行機、回転翼機、滑空機、飛行船）はIFRでの飛行が求められます。

計器着陸と操縦

着陸時には、計器着陸装置などのアビオニクスを用いることが一般的ですが、フレアー（機首を引き起こす操作）やその他の感覚的な要素にも依存する面があるため、計器だけに頼りすぎるとハードランディングにつながるという意見もあります。

資格要件

計器飛行や計器航法を行うためには、計器飛行証明という技能証明の取得が必須です。しかし、飛行機の定期運送用操縦士や準定期運送用操縦士は、その資格取得時に計器飛行に関する試験を受けており、その資格を持つ者は計器飛行を行うことができます。一方で、自家用や事業用操縦士資格にはこの要件が含まれていません。

結論

計器飛行方式は航空運航において重要な役割を果たしており、特に悪天候や視界が悪い状況での飛行において欠かせません。計器の利用により、安全かつ効率的な飛行が実現され、航空交通の管理が向上しています。

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