フライヤ (レーダー)

フライヤ（Freya）

フライヤとは、第二次世界大戦中にドイツで開発された早期警戒レーダーであり、その名称は北欧神話の女神フレイヤに由来しています。このレーダーは、戦争期間中に1,000基以上が設置され、特に戦闘機や爆撃機の早期探知に貢献しました。

開発の背景

フライヤの最初の実用試験は、1938年にドイツ海軍向けに実施されました。この実験はGEMA社によって行われ、当時からドイツはイギリスよりも早くからレーダー技術の開発に注力していました。フライヤの波長は1.2m（250MHz）であり、イギリスのチェーンホーム（波長12m）に比べて高い解像度を持っており、小規模な物体を検出することが可能でした。

しかし、その複雑な設計により、戦争開始時には僅か8カ所のフライヤ基地しか実稼動していませんでした。このため、探知区域には大きな隙間が生じていました。一方で、イギリスのチェーンホームは迅速な設置が進められ、バトル・オブ・ブリテン時には完璧に整ったネットワークを構築していました。フライヤは、初期の敵味方識別機能を備えており、特定の航空機が100km以上の距離で敵を認識することができました。

技術的特徴

フライヤは、その先進的な技術により、他のレーダーに対する追従の機能を持っていました。AN型では、アンテナの整相線を切り替えることができ、これにより探知範囲を広げることができました。また、熟練のオペレーターは、1度の角度分解に絞り込んだ探知が可能でした。

派生型

フライヤの派生型には以下のようなものがあります：

• - FuMG 450 フライヤ AN：探知距離が120kmに増強されました。
• - FuMG フライヤ LZ：空輸用に分解可能なモデルです。
• - FuMG 480 など。

配備と運用

フライヤはしばしばドイツの射撃レーダー「ヴュルツブルク・リーゼ」と共に使用されました。フライヤで遠距離の目標を発見し、その後ヴュルツブルクに目標を引き継ぎ、精密な追尾が行われました。後期には、フライヤは最大探知距離160kmに達しましたが、正確な高度を把握する機能は劣っていました。

初めての有効な使用例は、1939年12月に発生しました。2カ所のフライヤ基地がイギリス空軍のビッカース ウェリントン爆撃機の接近を探知し、味方戦闘機の迎撃を指示したことで、イギリス本土に無事帰還できたのは半数に過ぎませんでした。この成功を受けて、ドイツ空軍はさらなる基地設置を行いました。

対抗策とイギリスの行動

イギリスは「ムーンシャイン」という装置を使用し、フライヤからの信号を強化したり、「マンドレル」というノイズ攪乱装置を用いることでフライヤの能力を低下させようとしました。これにより、フライヤの探知空域に大きな隙間を作ることができました。

結論

フライヤは、第二次世界大戦におけるドイツ側の重要なレーダー技術の一つであり、戦局に大きな影響を与えました。その技術的優位性は一時的でしたが、戦争の推移とともにその運用方法や対抗策が進化していきました。

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