ビッカース ウェリントン

ビッカース ウェリントン (Vickers Wellington)

ビッカース ウェリントンは、1940年代初頭にイギリス空軍で運用されたヴィッカース社製の爆撃機で、そのデザインと性能から「ウィンピー」という愛称で知られています。この機体は二重の主翼を持つ独特の大圏構造を採用しており、軽量かつ頑丈な設計が特徴です。最初の量産型は1937年に登場し、その後さまざまな改良が加えられました。

機体構造と特徴

ウェリントンは、金属素材を格子状に編み、軽量な羽布で覆った構造を持っています。この設計により、ある程度の攻撃に対して耐久性がありましたが、気密性が低かったため高高度での運用には不向きでした。初期の生産型では、機首と機尾に動力式の銃座を装備し、最大で2000kgの爆弾を搭載可能でした。

搭載されたエンジンは型によって異なり、Mk.Iはブリストル ペガサスXⅦを使用し、後の型ではロールス・ロイス マーリンやブリストル ハーキュリーズに変更されました。ウェリントンは、1938年から部隊に配備され始め、開戦時には6個の航空隊に配備されていました。

戦闘の歴史

初めての実戦任務は1939年9月4日に行われ、ドイツに対する爆撃が行われましたが、本機はその後、多くの損失を被り、昼間爆撃から夜間爆撃へと任務が変更されました。夜間爆撃機としての性能が発揮され、大戦前半にはドイツやイタリアの工業地帯爆撃に従事し、さらには中東や北アフリカでも活躍しました。

1942年にはインドにも派遣され、極東への長距離爆撃任務を果たしました。また、全体の設計から派生した洋上型も登場し、さまざまな改良型が生産されました。これらの型は、主にエンジンや武装の違いによって区別されます。

大戦後の運用

1943年以降、ウェリントンは爆撃機としての任務からは外れましたが、以降は沿岸の哨戒任務や輸送任務に利用されることが主流となりました。機体は広い容量を持つため、長時間飛行することができ、1985年10月までイギリス空軍で利用されました。最後の型は輸送用に特化したMK.XVやMK.XVIで、これらは武装を持たず、貨物室として改造されていました。

スペック

• - 全長: 19.68 m
• - 全幅: 25.26 m
• - 全高: 5.31 m
• - 全備重量: 12,910 kg
• - エンジン: ブリストル・ペガサス17 空冷9気筒 1000 hp×2
• - 最大速度: 378 km/h
• - 実用上限高度: 5,500m
• - 航続距離: 3,540 km
• - 武装: 爆弾2,000kg、7.7mm機銃×6
• - 乗員: 6名

このように、ビッカース ウェリントンはその生産から戦闘まで、幅広い利用がされていた歴史的な爆撃機であり、英国空軍の重要な戦力となりました。

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