フライング・ロータス

フライング・ロータス (Flying Lotus)

スティーヴン・エリソンことフライング・ロータスは、1983年10月7日カリフォルニア州ロサンゼルス生まれの音楽プロデューサー、DJ、ラッパー、映画音楽家、そして映画監督という多岐にわたる才能を持つアーティストです。彼の音楽は、ヒップホップを根底に置きながらも、ジャズ、電子音楽、ブラジル音楽など、多様なジャンルの影響を強く受けており、その独特なサウンドスケープは世界中の音楽ファンを魅了しています。

音楽性

フライング・ロータスの音楽の特徴は、何と言ってもその強い重低音と予測不能なリズムです。伝統的なヒップホップの枠にとらわれず、実験的なサウンドデザインと緻密なプログラミングによって、他に類を見ない音楽体験を生み出しています。また、彼は自らが主宰する音楽レーベル「ブレインフィーダー」を通じて、サンダーキャットなど、ジャンルを超えた才能あるアーティストを世に送り出しています。

来歴

2006年にデビューアルバム『1983』を発表。2008年にはワープ・レコーズから2作目のアルバム『ロス・アンジェルス』をリリースし、批評家から絶賛されました。続く2010年の『コスモグランマ』も高い評価を受け、フライング・ロータスは世界的な知名度を獲得しました。その後も、『アンティル・ザ・クワイエット・カムス』（2012年）、『ユーアー・デッド!』（2014年）、『フラマグラ』（2019年）と、意欲的なソロ作品を次々と発表しています。

また、2012年からはCaptain Murphy名義でラッパーとしても活動を開始。覆面アーティストとして、その正体を隠しながらミックステープを発表し、話題を呼びました。

音楽プロデューサーとしては、ケンドリック・ラマー、マック・ミラー、チャンス・ザ・ラッパー、サンダーキャットなど、数々の著名アーティストの作品に参加しています。彼の独特なサウンドは、これらのアーティストの作品に新たな彩りを与え、音楽シーンに大きな影響を与えています。

映画監督としての才能

フライング・ロータスは、音楽だけでなく、映画の世界でもその才能を発揮しています。映画やアニメのオリジナルスコアを担当するだけでなく、自身が監督・脚本を務める映画『Kuso』（2017年）を公開するなど、映画作家としても活動しています。『Kuso』は、その独特な世界観と過激な表現で賛否両論を呼びましたが、フライング・ロータスの芸術家としての多面性を示す作品として、注目を集めました。

人物

フライング・ロータスは、音楽一家に生まれ育ちました。大叔母はジャズ・ハープ奏者のアリス・コルトレーン、大叔父は伝説的なジャズ・サックス奏者のジョン・コルトレーンという、音楽史に名を残す偉大な音楽家たちを親族に持ちます。また、彼は大の親日家としても知られており、日本の映画、アニメ、ゲームを愛好しています。三池崇史、塚本晋也、北野武といった日本の映画監督を敬愛し、来日公演では『ドラゴンボール』の道着を着用したり、ゲームサウンドの要素を楽曲に取り入れるなど、日本のカルチャーへの愛情を表現しています。

ディスコグラフィ

スタジオ・アルバム

1983 (2006年)
ロス・アンジェルス - Los Angeles (2008年)
コスモグランマ - Cosmogramma (2010年)
アンティル・ザ・クワイエット・カムス - Until The Quiet Comes (2012年)
ユーアー・デッド! - You're Dead! (2014年)
フラマグラ - Flamagra (2019年)

ミックステープ

Duality (2012年) ※Captain Murphy名義
Ideas+drafts+loops (2013年)

EP

リセット - Reset (2007年)
L.A. EP 1 X 3 (2008年)
Shhh! (2008年)
L.A. EP 2 X 3 (2008年)
L.A. EP 3 X 3 (2009年)
パターン+グリッド・ワールド - Pattern+Grid world（2010年）
Cosmogramma Alt Takes (2011年)
Presents INFINITY “Infinitum” - Maida Vale Session (2019年)

フィルモグラフィ

Kuso (2017年) 監督・脚本・音楽
ブレードランナー ブラックアウト2022 (2017年) 音楽
* キャロル&チューズデイ (2019年) 一部音楽

フライング・ロータスの音楽は、常に進化し続けています。彼の創造性は、音楽シーンだけでなく、映画やアートの世界にも大きな影響を与えており、今後の活躍から目が離せません。

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