フラッシュバック (薬物)

フラッシュバックとは

フラッシュバックとは、幻覚剤の使用によって体験した感覚が、使用後しばらく経ってから突然再現される現象です。数秒から数分間続くことが多く、心地よいと感じる人もいれば、恐ろしいと感じる人もいます。

特徴

フラッシュバックは、以下のような状況で起こりやすいとされています。

ストレスや不安を感じている時
瞑想や酩酊状態にある時
大麻を吸引した時
自我の働きが変容している時

また、幻覚剤を研究していた心理学者のティモシー・リアリーは、フラッシュバックを「脳の中の新しい知覚回路につながった結果、意識が拡張され、薬剤を必要とせずに感覚が再現される現象」と述べています。

フラッシュバックの頻度

ある研究によると、LSDを体験した人の23%がフラッシュバックを経験したと報告されています。別の研究では、235人中28%がフラッシュバックを体験し、その64%が「人生を邪魔するものではない」と感じています。

21%：すごく気持ちよかった
36%：気持ちよかった
32%：少し怖かった
11%：恐ろしい

診断

フラッシュバックは、精神医学的な診断名としては、以下の2つがあります。

ICD-10：フラッシュバック（幻覚剤後知覚障害）
DSM-5：幻覚剤持続性知覚障害（HPPD）

DSM-5では、HPPDの診断基準として、以下の3つが挙げられています。

A：色や動きに関する視覚的な現象
B：著しい苦痛や社会的な機能の障害
C：せん妄などの他の要因が除外されている

重要な点として、DSM-5では大麻およびTHCは幻覚剤ではないと明記されています。

HPPDについて

HPPDは、幻覚剤を使用したことがない人にも起こりうる現象であり、偶発的な視覚現象は一般集団にも見られます。また、シロシビンのランダム化比較試験では、フラッシュバックや持続的な視覚現象は報告されていません。

覚醒剤によるフラッシュバック（日本の研究）

日本の研究では、覚醒剤による精神病が数年単位で再発することがあり、これをフラッシュバックと呼んでいます。ただし、覚醒剤は幻覚剤ではないため、厳密にはフラッシュバックとは言えません。また、海外では統合失調症の発症が薬物によって早まったと見なされることがあります。

関連項目

ブルーフィールド内視現象 - 誰にでも生じている粒粒が動く現象
ベンゾジアゼピン眼症 - ベンゾジアゼピン系に類似する作用のある抗不安薬や睡眠薬によって生じる眼瞼痙攣
知覚変容発作 - 視覚的特徴を伴う抗精神病薬の副作用
不思議の国のアリス症候群
過感受性精神病 - 抗精神病薬の多用による離脱症状としての精神病

注意点

フラッシュバックは、幻覚剤を使用したことがある人だけでなく、使用したことがない人にも起こりうる現象です。もし、視覚的な異常を感じた場合は、専門医に相談することをおすすめします。

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