フラワー級コルベット

フラワー級コルベット

フラワー級コルベットは、英語ではFlower class corvetteと呼ばれる、イギリス海軍が主に建造した艦級です。この艦級は、元々対潜捕鯨船（A/S whaler）として計画されましたが、後にコルベットとしての機能を持つ艦船として位置づけられました。その名が示す通り、ほとんどの艦名は花に由来しています。

歴史的背景

1935年にドイツが再軍備を宣言し、国際情勢が悪化する中で、イギリスは海軍力の強化を急務としていました。特に、第二次世界大戦が勃発した場合には、外洋の護衛艦だけでなく、沿岸警備艦艇の必要性が高まることが予想されました。1939年1月、第一海軍卿は対潜艦に関する予備研究を指示しました。これにより、トロール船や捕鯨船など、従来よりも低コストで建造可能な艦艇の設計が検討されることとなりました。

1939年2月8日、海軍向けの船舶設計を手がけていたエドワード・リード技師が注目されました。彼が設計した捕鯨船「サザン・プライド」と「ソンドラ」は、艦の速力が従来のトロール船よりも優れていたため、軍の要望に応えるにふさわしい船体だと判断されました。この捕鯨船を基に、海軍は艦船の設計を進め、1940年度計画において建造が決定されました。

設計の特徴

基本設計は「サザン・プライド」を元にしていますが、艦砲を搭載するために船首楼が延長されています。また、機動性を高めるべく、舵やその周辺の構造も見直されました。船体は商船型で、木材を多く使用したため、軽量化が図られましたが、逆に重心の不安定さが影響し、復原性能が劣るという課題も抱えています。

そのため、1940年11月、造船局はリード技師に対し、設計の改型を要請し、より安定性を持たせる方向で修正が行われました。これにより、艦船のサイズがわずかに拡大し、性能が向上しました。主機関には直立型のレシプロ蒸気機関が搭載され、量産性に配慮されました。

装備と性能

フラワー級コルベットの初期設計では、艦橋の前方に10.2cm単装砲（BL 4インチ砲Mk.IX）を搭載し、後部に対空兵器として40mm単装機銃が配置される予定でした。しかし実際には、戦時中に様々な改修が施され、装備の多様化が進みました。

艦砲としては7.6cm高角砲が装備されているものや、20mm機銃の装備が行われるなど、艦によって異なる装備を持つこととなりました。また、対潜兵器としては、艦尾に爆雷投下軌条を装備し、爆雷の搭載数は40発から72発へと増備されました。

運用と成果

フラワー級コルベットは、1939年から1944年の間にイギリス、カナダ、そして自由フランス海軍向けに多くが建造されました。イギリスで140隻、カナダで123隻が建造され、戦局の厳しさから船団護衛に広く投入されることとなりました。この艦級は、最終的に31隻が被害を被った一方で、42隻の枢軸軍潜水艦を沈める戦果を挙げました。

施戦後、このフラワー級コルベットは数年で運用終了となりましたが、その後、多くが海外へと輸出され、商船としての役割を果たしました。いくつかの艦艇は再就役し、その中には日本で捕鯨船として用いられた艦も存在します。現在、カナダ海軍に属していた『サックビル』は博物館船として保存されています。

その他の運用国

フラワー級コルベットは、イギリス海軍のほか、カナダ海軍、アメリカ海軍、自由フランス海軍などで運用されました。その後、ベルギー海軍やギリシャ海軍など、様々な国でも使用されることとなりました。

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