フランク・マンダス

フランク・マンダス：伝説のサメハンターから保護活動家へ

フランク・マンダス (1925年10月21日 - 2008年9月10日) は、ニューヨーク州モントークを拠点に活動した、カリスマ性あふれるサメハンターにして、後にサメ保護活動家へと転身した人物です。大型魚を狙うチャーター船の船長として成功を収め、映画『ジョーズ』の登場人物クイントのモデルになったと広く信じられています。その生涯は、危険と隣り合わせのモンスターフィッシングから、海の王者への敬意と保護へと移り変わる、ドラマチックなものでした。

若き日のマンダスとモントーク

ニュージャージー州で生まれ、ブルックリンで育ったマンダスは、1945年、ニュージャージー州ブリエルで自身のチャーターボート「クリケット号」で事業を始めます。1947年には特注の「クリケットII号」を手に入れ、さらに大きな魚への挑戦を始める準備を整えました。

1951年、マンダスはオキスズキを求めニューヨーク州モントークへと移住します。しかし、モントークで彼を待ち受けていたのは、オキスズキよりもはるかに大きな獲物でした。

その最初の年に、マンダスはモントークのレクリエーション歴史上最悪の海難事故となる「ペリカン号」の事故に遭遇します。定員オーバーの乗客を乗せたペリカン号はスコールで転覆し、多数の犠牲者を出しました。マンダスは救助活動に尽力し、沈没寸前のペリカン号を港へ曳航する手助けをしました。この経験は、マンダスのその後の人生に大きな影響を与えたと言われています。

モンスターフィッシングと世界記録

モントークでマンダスが発見したのは、オキスズキではなくサメでした。彼は「モンスターフィッシング」と呼ばれる、巨大なサメをターゲットにした独自の釣りスタイルを確立し、その個性的なキャラクターと大胆な漁法で一躍有名になります。

マンダスは、推定4,500ポンド（約2トン）ものホオジロザメを銛で捕獲したと伝えられています。この記録は、後に公式に計量されたものではないと判明しますが、彼の名を不動のものとしました。さらに、1986年には、ドニー・ブラディックと共に、3,427ポンド（約1.55トン）のホオジロザメを釣り上げるという世界記録を樹立します。この記録は、現在も破られていない、竿とリールで釣り上げたあらゆる魚の中で最大のものです。

しかし、マンダスの初期の漁法は、クジラを殺してサメをおびき寄せたり、銛を使用するなど、現代の倫理観からは批判の対象となるものでした。

サメ保護活動家への転身

1991年、マンダスは沿岸警備隊のライセンス失効を指摘され、一時的に事業を休止します。その後、ハワイに移住するも、クリケットII号を手放すことなく、チャーター船事業は他人に委ねる形となりました。1997年に正式に引退するも、夏の間はモントークに戻りシャークトーナメントに参加したり、クリケットII号で遠洋へ出航したりしていました。

晩年のマンダスは、かつてのサメハンターから一転、サメ保護活動家として活動を始めます。キャッチ・アンド・リリースを提唱し、『White Shark Sam Meets The Monster Man』などの著書を出版しました。ディスカバリーチャンネルの『シャーク・ウィーク』にも出演し、その生涯とサメ保護への想いを語りました。

クイントのモデル？

マンダスは、映画『ジョーズ』のサメハンター、クイントのモデルになったとされています。小説の著者ピーター・ベンチリーは公式には否定していましたが、クイント役のロバート・ショウや多くのモントーク住民は、マンダスがクイントの原型であることを認めています。マンダスとベンチリーは実際にサメ狩りで同行しており、様々な共通点から、その説を裏付ける証拠は多いと言えます。

個性的な人物像

フープイヤリング、オーストラリア製の帽子、サメの歯のネックレスなど、独特のファッションセンスとエキセントリックな性格で知られたマンダス。しかし、その裏には、プロとしての誇りと、海の生き物への深い愛情がありました。

2008年、ハワイで心臓発作のため亡くなりました。彼の生涯は、伝説のサメハンターから海の保護者への変貌を遂げた、ドラマチックで感動的な物語として、人々の記憶に刻まれています。

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