フランシスコ・エレーラ (子)

フランシスコ・エレーラ（子）（Francisco de Herrera el Mozo、1622年 - 1685年8月25日）は、スペインの画家であり、同名の画家である父親、フランシスコ・エレーラ（父）（Francisco de Herrera el Viejo: 1576–1656）と区別するために「el Mozo（子）」と付け加えられて呼ばれています。

生涯

セビリアで著名な画家の次男として生まれたエレーラ（子）は、幼少期から父親の指導を受け、その工房で画業を磨きました。しかし、父親の短気な性格が原因で、1640年代後半には父のもとを離れ、イタリアへ渡ることになります。イタリアでの滞在期間については諸説ありますが、ローマに長期間滞在し、フレスコ壁画の研究に励んだとされています。また、ヴェネツィア派の色彩豊かなスタイルも学び、自身の画風に取り入れました。

1654年頃にはスペインのマドリードに戻り、エルサルバドル教会の祭壇画制作の契約を結んでいます。1656年に父親が亡くなると、エレーラ（子）はセビリアに戻り、地元の多くの教会で宗教画を手がけました。彼の作品は、その美しい色彩とダイナミックな構図が特徴であり、バロック美術の優れた例として評価されています。

1660年には、バルトロメ・エステバン・ムリーリョらと共に、セビリアに美術アカデミー（Academia Sevillana del Arte de la Pintura）を共同で設立し、セバスティアン・デ・リャノス・イ・ヴァルデス（Sebastián de Llanos Valdés: c.1605-1677）やムリーリョとともに共同代表を務めました。このアカデミーは1690年代まで存続し、後進の育成に貢献しました。

マドリードのカルメル会教会には、彼の代表作である『聖ヘルメネギルドの勝利』が飾られています。この作品は、彼の卓越した技術と宗教的テーマへの深い理解を示すものとして高く評価されています。1672年からは、国王カルロス2世の宮廷画家として活動し、ヌエストラ・セニョーラ・デル・ピラール聖堂の改修にも貢献するなど、その才能は多岐にわたりました。

作品

エレーラ（子）の作品は、宗教的なテーマを扱ったものが多く、その色彩感覚と構成力は、当時のスペイン美術の中でも際立っていました。彼の作品は、バロック美術の隆盛を物語る貴重な資料となっており、スペイン各地の教会や美術館で見ることができます。


『聖ヘルメネギルドの勝利』
エルサルバドル教会の祭壇画
セビリアの各教会の宗教画

参考文献

Herbermann, Charles, ed. (1913). "Francisco Herrera". Catholic Encyclopedia. New York: Robert Appleton Company.

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