フランシス・ベンジャミン・ジョンストン

フランシス・ベンジャミン・ジョンストン

フランシス・ベンジャミン・ジョンストン（1864年1月15日 - 1952年5月16日）は、アメリカの写真史において重要な女性写真家であり、彼女の生涯にわたる作品は多岐にわたります。特に南部の建築や黒人、ネイティヴ・アメリカンの写真に焦点を当てた彼女の作品は、当時の社会情勢や文化を映し出しています。ジョンストンは自らの独特な視点を通じて、さまざまな人々や出来事を捉え、歴史的な記録として後世に伝えました。

生い立ちと教育

フランシスはウエストヴァージニア州グラフトンに生まれました。彼女の両親はワシントンD.C.で影響力を持ちながら、それによって生じた社会的地位がフランシスの成長に寄与しました。母親はジャーナリストとして活躍し、当時の女性にとって画期的な存在でした。こうした家庭環境で育ったフランシスは、1883年にメリーランド・ノートルダム女子高等学校を卒業後、パリやワシントンで美術を学びました。彼女は、早くから独立した視点を持つ女性として、執筆活動にも励んでいました。

彼女が初めて手にしたカメラは、彼女の家族との親交が深いジョージ・イーストマンから受け取ったものでした。イーストマンは、軽量のカメラを作り出し、写真撮影の新時代を切り開いた人物です。ジョンストンは、スミソニアン博物館での経験を通じて技術や暗室の使用法を学ぶこととなり、彼女のキャリアの基盤を築きました。

フリーランスとしての活動

1890年代に入ると、ジョンストンはフリーランスの写真家としてヨーロッパを旅し、さまざまな作品を手がけました。ワシントンD.C.に戻った後は、自身のフォトスタジオを開設し、著名な社会人を対象に肖像写真を撮影しました。彼女のスタジオは、社交界でも名を馳せ、たくさんの注文を受けました。こうした活躍から彼女は「アメリカの宮廷写真家」と称されることになります。特に有名なのは、歴代の大統領の肖像写真を手がけたことです。

女権の擁護者

ジョンストンの作品の中でも、彼女自身をモデルにしたセルフポートレートは特にスキャンダラスで、当時の「新しい女性」の象徴とされています。彼女は1897年にエッセイ「女性はカメラで何ができるか」を発表し、女性の作品や表現活動における可能性について問題提起を行いました。また、1900年のパリ万国博覧会の際には、女性作家の写真展を監修しています。

南部の建築と日常生活の記録

彼女の仕事は、単に肖像を撮影することだけにとどまりませんでした。南部の人々の生活や建築物にも目を向け、普通の人々の日常が映された作品を多く残しました。1899年には、バージニア州のハンプトン師範農業学校の学生たちや校舎を記録し、それが評価を高めるきっかけとなりました。彼女の作品は、アメリカ南部の文化や歴史、また建築物の消失を防ぐための貴重な記録となっています。

最晩年と継続する影響

彼女は晩年も活動を続け、建築写真に情熱を注ぎました。1940年にはニューオーリンズに住居を構え、1952年に88歳で亡くなるまで、彼女の足跡はアメリカの写真界に色濃く残り続けました。ジョンストンの作品は、今なお多くの美術館に所蔵されており、歴史的建築を知る上で重要な資料となっています。

フランシス・ベンジャミン・ジョンストンの生涯を通じての業績は、女性の写真家としての道を切り拓いた先駆者として、未来の世代に影響を与え続けることでしょう。

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