フランスのスイス侵攻 (1798年)

フランスのスイス侵攻（1798年）とヘルヴェティア革命

1798年1月から5月にかけて、フランス第一共和政の軍隊がスイスに侵攻し、原スイス誓約同盟を崩壊させた「フランスのスイス侵攻」。そして、この侵攻に呼応して発生した「ヘルヴェティア革命」を中心とするスイスの内乱について解説します。

背景

1798年以前、現在のヴォー州にあたる地域はベルン州の一部であり、従属的な地位に置かれていました。ヴォー住民の多くを占めるフランス語話者は、ドイツ語話者が主導権を握るベルンのもとで抑圧されていると感じていました。こうした状況下で、ヴォーの独立を求めるフレデリック＝セザール・ド・ラ・アルプのような人物が現れました。

1797年、北イタリアを征服したばかりのフランスの将軍ナポレオン・ボナパルトは、スイスを占領するよう総裁政府に圧力をかけました。その目的は、アルプス山脈の峠道を越える北イタリアへの補給路を確保することにありました。また、スイスそのものの軍事的価値も注目されていました。当時のスイスは政治的・社会的な内部混乱にあり、フランスと交渉することも抵抗運動を組織することもできませんでした。

革命の波

1797年10月、ヴェルテッリーナ、キアヴェンナ、ボルミオがフランスの支援を受けて原スイス誓約同盟に反旗を翻し、チザルピーナ共和国に合流しました。同年12月には、フランスがバーゼル司教領南部を占領・併合。ジュネーヴ付近には10,000人のフランス兵が集結しました。こうした状況を受け、スイス内部では革命が広まることを望む親フランス派と、それを恐れる反フランス派が存在しました。

1798年1月17日、バーゼル州のリースタルで革命派の反乱が勃発。これがヘルヴェティア革命の始まりとなりました。反乱軍は法の下の平等を要求し、1月24日にはヴォーでレマン共和国の建国が宣言されました。その後、スイス各地で同様の蜂起が相次ぎ、40以上の短命な共和国が乱立しました。

フランスの侵攻

1798年1月28日、レマン共和国の招請により、フランス軍がヴォーに侵攻。ベルンの軍勢は撤退し、ヴォーの住民はフランス軍を歓迎しました。続いて、フランス軍はベルン政府に親フランス革命派への政権譲渡を要求。ベルンが拒否したため、フランスは軍事行動を開始しました。

3月1日、戦闘が開始され、各地で激戦が繰り広げられました。ベルン軍は善戦したものの、グラウホルツの戦いでフランス軍に敗北。ベルンは降伏し、スイス各地で独立運動が激化しました。

フランス総裁政府は、スイスに単一の共和政府が成立することを望み、新憲法の草案を作成。しかし、スイスの諸勢力はこれを嫌い、修正を求めました。最終的にフランス政府は、元の憲法の適用を強制しました。

4月12日、ヘルヴェティア共和国の建国が宣言されました。しかし、スイス中部の三州はこれを拒否し、反乱を起こしました。反乱軍はフランス軍と激戦を繰り広げましたが、最終的に鎮圧されました。

その後

フランスのスイス侵攻は、第二次対仏大同盟結成の一因となりました。また、スイスは戦火とフランス軍の収奪により荒廃し、反フランス感情が高まりました。フランスはヘルヴェティア共和国に対し、強制的な貸付や資金供出を強要。これらの資金は、ナポレオン・ボナパルトのエジプト遠征の財源に充てられました。

スイスは、フランスの支配下で大きな苦難を経験することになりました。

戦闘一覧

参考資料: Wikipedia

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