フランスの小郡

小郡（canton）について

小郡とは、フランスにおける重要な行政区分の一つで、100の県（département）と342の郡（arrondissement）をさらに細分化したものです。この小郡は、フランスの地方行政においてキーとなる役割を担っています。一方、スイスのフランス語圏では「州」を示す際に「canton」という言葉を用いることがあり、ドイツ語圏では「kanton」、イタリア語圏では「cantone」と表現されます。スイスの地域行政区画についても併せて理解することが大切です。

小郡の役割

基本的な役割として、現在の小郡は県議会選挙の選挙区として機能しています。フランスではこの選挙のことを「小郡選挙（Élection cantonale）」と呼んでいることからも、重要性が伺えます。2016年のデータによると、小郡の数は2,054に達し、ロッシュフルシャのような小規模なものから、パリのように200万人以上の人口を抱える大都市まで、その人口には幅があります。小郡は人口が均等になるように設計されており、いくつかの大きなコミューンが多くの小郡を包含していることもあります。しかし、多くの場合、小郡は複数のコミューンから構成されます。

小郡の運営

小郡は、県の議会に選出される代表者を選ぶための枠組みを提供します。特に都市部では、一つのコミューンが複数の小郡を持つことが一般的であり、逆に地方部では、小郡が小さなコミューンを多数含むことが常です。行政サービス、例えば国家憲兵本部などの機関が配置されるのは、通常小郡の中でも特に重要なコミューンである小郡庁所在地（chef-lieu）です。ただし、一部の小郡（ガイヨン＝カンパーニュやサルグミーヌ＝カンパーニュなど）は、外部のコミューンを庁所在地として指名しています。INSEEの統計によると、パリの20区は小郡として取り扱われることもありますが、他の小郡とは異なり、選挙機能を持ちません。

さらに、小郡は第一審裁判所（Tribunal d'instance）の管轄区域としても機能し、かつては「裁判区（justices de paix）」と呼ばれました。これにより、司法の面でも重要な役割を果たしています。

小郡の歴史

小郡は1790年に県と共に設立され、当初は地域区分（Comité de division）として大量に作成されていました。最初の頃は、小郡の数は各県に40から60程度存在し、当時は「区（district）」と呼ばれていましたが、1800年に区は廃止され、小郡の前身である郡へと再編されました。その後、法律により小郡の数は大幅に削減され、現在のような数に整理されました。今もなお、人口動態に応じて新たな小郡が設立されたり、廃止されたりしているため、当時の構図が今日も影響を与えています。

2013年に選挙法が改正され、2015年の選挙を契機に再編が行われ、4,032あった小郡は2016年には2,054にまで減少しました。さらに、マルティニークやフランス領ギアナなどの海外県でも小郡制度が廃止され、新たに異なる選挙区が設立されました。

まとめ

小郡はフランスの行政の根幹を成す区分であり、選挙や司法の枠組みを提供する重要な役割を持っています。その歴史は1790年に遡り、今日に至るまで様々な変革を経て進化を遂げてきました。

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