フランスの省

フランスの省（ministère）について

フランスにおいて、省（ministère）は政府に直属する行政機関であり、政府の構成員である大臣がその長を務めます。本記事では、その歴史的背景、組織構造、職務内容、そして内部組織について詳細に解説します。

歴史

アンシャン・レジーム時代には、国務卿がそれぞれの権限に応じて行政機関を所管していました。フランス革命期に入り、「ministre（大臣）」および「ministère（省）」という語が徐々に一般的になり、1791年憲法では6つの大臣および省（司法、内務、税務・国庫収入、海軍、陸軍、外務）が規定されました。これらの省は一時廃止されましたが、後に再設置されています。

20世紀に入ると、福祉国家の展開とともに、多数の人材を雇用する大規模な省が次々と現れました（例：社会問題省、国民教育省、産業省、郵政省）。省の名称や序列は、その時々の政府の政策を反映しており、社会の変化に対応して省の設置、再編、統合が行われます。例えば、都市計画省と公共事業省の統合による設備省の設置、環境省の設置、女性権利省の設置、連帯経済省の設置などが挙げられます。

組織

省（ministère）という語や概念は、現行憲法には明記されていません。憲法は、首相、その他の大臣、およびその他の機関（大統領、国会、国務院など）の関係について大まかに規定するのみです。行政府の組織は政府自身の権限に属し、関係者を保護する法律を遵守する限りにおいて、自由に組織を変更できます。

ただし、憲法は知事、大学区長、中央行政機関の局長などの職に言及しており、省の一連の組織（中央行政機関、県庁、大学区）を暗に認めていると言えます。省は、国務院の議を経たデクレ（政令）によって設置されます。このデクレの効力は、組閣によって省の名称や権限が変更されたとしても存続し、新たなデクレによって省の統合や分割が行われることがあります。

国務院は省の永続性を保証し、あらゆる変更事項は国務院の承認を必要とします。また、国務院は最高行政裁判所として、古い問題についての決定事項をどの省に実施させるかを指定します。

省の命名方法には、「…省（ministère de ...）」と「…担当省（ministère chargé de ...）」の2通りがあります。大規模な省の場合、恒久的な名称が用いられますが、省の正式名称、権限、管轄領域は頻繁に変更されます。

職務

行政府内において、トップに集中していた権限は、特定の権限を備えた自治組織の設立、組閣、各大臣による権限の付与を通じて徐々に分散していきます。

省の基本的な職務は、政策（規範文書、法律、命令、決定）の立案およびその実施の監督、そして政策の実施です。前者は省の中央行政機関の職務であり、後者は省の地方出先機関または全国管轄部局の職務です。さらに、省は自らの財産（職員、金銭など）を管理し、その管轄領域内において固有の権限を与えられた機関を管理・監督します。

内部組織

省の内部組織は一般に、大臣、大臣官房、事務総局、部局、代表部または委員会、監督局、地方出先機関で構成されています。

大臣（ministre）: 省の長であり、国務大臣（ministre d’État）である場合もあります。近年、省庁再編によって担当大臣、副大臣、大臣付大臣に省の一部門の監督を委任するケースが増加しています。
大臣官房（cabinet ministériel）: 大臣の職務を補佐し、大臣に直属する職員で構成されます。彼らは必ずしも公務員ではなく、任命によって公務員の身分が与えられることもありません。大臣官房は大臣の政治的な活動を補佐すると同時に、省の各部局の行動指針となる政策を確立します。
事務総局（secrétariat général）: 省の後方支援部局を所管し、省の各部局の活動を専門的に調整します。
部局: 総局、局または部、部、課の3〜4段階に区分されます。どの語を用いるかは、省および時代によって異なります。
代表部（mission）または委員会（délégationまたはcommissariat）: 横断的または局所的な任務を帯びた、小規模かつ短期的な部局を意味します。
監督局（inspection）: 特別な任務を帯び、大臣に直属します。
* 地方出先機関（service déconcentré）: 地域圏レベルおよび県レベルに設置されます。

各省の所在地

各省の大臣官房は、パリにある古い貴族の邸宅内に所在することが一般的です。各部屋は各部局に、時には官舎に割り当てられます。政府事務総局は、内閣が交代するたびに各大臣官房に庁舎を割り当てます。

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