フランス世紀末文学叢書

フランス世紀末文学叢書

「フランス世紀末文学叢書」は、1984年から1990年にかけて国書刊行会より刊行された、全15巻からなるフランス文学の叢書です。19世紀末のフランス文学、特に世紀末の思潮を反映した作品群を幅広く収録したアンソロジーであり、当時の文学的関心や美的感覚を現代に伝える貴重な資料となっています。

概要

この叢書は、四六判、函入りのハードカバーという装丁で統一され、19世紀末フランス文学の多様な側面を垣間見ることができます。収録作品は、短編小説、戯曲、評論、詩など多岐にわたり、象徴主義、耽美主義、退廃主義といったキーワードで語られる世紀末文学の魅力を堪能できます。

収録作品

以下に各巻の収録作品の概要を紹介します。

1. 『パルジファルの復活祭：世紀末傑作短篇集』: ジョゼファン・ペラダン、ジュール・ラフォルグ、ピエール・ルイスなど、様々な作家による短編小説集。
2. 『黄金仮面の王：シュオブ短篇選集』: マルセル・シュオブの幻想的で耽美的な短編小説集。
3. 『碧玉の杖』: アンリ・ド・レニエの作品集。
4. 『腐爛の華：スヒーダムの聖女リドヴィナ』: J・K・ユイスマンスによる、聖女リドヴィナの生涯を描いた作品。
5. 『責苦の庭』: オクターヴ・ミルボーによる、人間の残酷さを描いた作品。
6. 『ファーストロール博士言行録』: アルフレッド・ジャリによる、ナンセンスでユーモラスな作品。
7. 『仮面物語集』: ジャン・ロランによる作品集。
8. 『死都ブリュージュ / 霧の紡車』: ジョルジュ・ロデンバックの代表作。
9. 『泥棒』: ジョルジュ・ダリアンの作品。
10. 『絶望者』: レオン・ブロワの作品。
11. 『ニキーナ：ヴェネチアの娼婦の物語』: ユーグ・ルベルによる作品。
12. 『室内：世紀末劇集』: モーリス・メーテルリンク、アルベール・サマン、シャルル・クロによる戯曲集。
13. 『詞華集』: マラルメ、ラフォルグなどの詩を集めたもの。
14. 『評論・随想集』: ジュール・ラフォルグ、モーリス・バレス、マルセル・プルーストなどによる評論・随想集。
15. 『仮面の書』: レミ・ド・グールモンによる評論集。

特徴

多様な作家と作品: 19世紀末フランス文学を代表する様々な作家の作品を網羅的に収録。
詳細な翻訳: 各巻とも、当時の文学思潮に精通した翻訳家によって翻訳。
* 美しい装丁: 四六判、函入りのハードカバーという、コレクターズアイテムとしての魅力も備えた装丁。

意義

「フランス世紀末文学叢書」は、19世紀末フランス文学の研究者や愛好家にとって、貴重な資料となるだけでなく、当時の社会や文化、思想を理解するための重要な手がかりとなります。また、現代の文学や芸術に与えた影響も大きく、その意義は計り知れません。

この叢書を通じて、世紀末フランス文学の奥深い世界に触れてみてはいかがでしょうか。

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