フランス共和国憲法

フランス共和国憲法

フランス共和国憲法（Constitution de la République française）は、1958年10月4日に制定されたフランスの基本法です。この憲法は、国民投票によって賛成多数を得て成立しました。特に第五共和制時代に作られたことから、五共和国憲法とも称されます。

構成

憲法は前文と15の章から成り立っています。前文では1789年のフランス人権宣言や1946年の第四共和国憲法、さらには2004年の環境に関する憲章をもとに、自由・平等・友愛の理念が強調されています。また、他国に対する征服を目的とした戦争や武力の行使を禁じています。

第1章 主権

主権に関する第1章は、4つの条文で構成されています。1条では目標としての共和国の意義や法の下における平等を掲げ、特定宗教の影響の排除についても規定しています。2条ではフランス語を国語と定め、国旗、国歌、標語、および政治の原理についても詳細に記載されています。3条は国民主権を規定し、4条では政党活動の自由を認めつつ、国家主権に対する尊重を求めています。

第2章 大統領

大統領に関する章は15条から成り立ち、第11条では公権力に関する法律案を国民投票にかけることができる権限が付与されています。このプロセスを通じて改正案は法律として成立します。

第3章 政府

政府の役割や首相の権限を規定する第3章は4条から構成されており、政府の基本的な機能について明示しています。

第4章 国会

国会については10条が扱われており、国民議会と元老院の構成、選出方法、会期について述べられています。特に元老院は地方自治体を代表する役割を持つことが特徴です。

第5章 国会と政府の関係

この章では大統領が両議院に対して教書を通じた連絡を行うことが規定され、国会は国民の権利や労働に関する法律を制定する責務を負っています。

第6章 条約および国際規定

国際刑事裁判所の権限や条約の効力に関する規定が含まれており、国際法の優位性が明文化されています。

第7章 憲法院

憲法に基づく憲法院の構成とその機能が8条にわたり定義されており、憲法院は憲法の解釈や適用を担う重要な機関です。

第8章 司法権

司法権に関する条項では、恣意的な拘束を受けない権利や死刑の廃止が明記されています。

第9章 高等法院

高等法院についての条項はわずか2条で構成され、政府閣僚の刑事責任等について規定されています。

第11章 経済社会環境評議会

この評議会は、政府の法律案への意見を提供する役割を持ち、すべての経済的社会的問題に対して政府からの諮問を受けることができます。

特徴

フランス共和国憲法は、一部では詳細な人権規定が存在しませんが、その社会的契約としての側面が強調されています。立法府よりも行政府に重点が置かれているという点や、1974年の憲法改正において欧州連合との関連性が導入されたことも、この憲法の重要な特徴です。信頼性のある政府の設立を目指したド・ゴールの思想が色濃く反映された憲法とも言えます。

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