フランス国立東洋言語文化学院

東洋言語文化学院 (INALCO)

東洋言語文化学院（Institut national des langues et civilisations orientales、略称: INALCO）は、フランスのパリにある国立大学で、フランス政府によってグラン・エタブリスマン（大規模教育機関）に指定されています。この学院は104種類の言語とその関連文明を学ぶことができる、ヨーロッパ最大の非西欧圏言語文化専門の機関です。

名前の由来

東洋言語文化学院は、通称「イナルコ」と呼ばれ、また「ラング・ゾー」とも称されます。教育内容は西ヨーロッパ以外の地域、特にアフリカ、アジア、東ヨーロッパ、オセアニアに焦点を当てており、これらの言語と文化に関する学びを提供しています。1971年に現在の名称が確立されるまで、その前身は東洋語学校（フランス東洋語学校、パリ東洋語学校）でした。

歴史的背景

イナルコの設立は中世のソルボンヌ大学のような伝統的な大学とは異なり、フランス絶対王政のもとで発展しました。特に、ルイ14世の時代に財務総監ジャン＝バティスト・コルベールが推進した重商主義政策により、外部市場の開拓と東洋諸国との関係構築が求められました。そのため、1669年に設立されたÉcole des jeunes de languesがその起点となり、トルコ語やアラビア語の翻訳者や通訳者を育成することが目的でした。1795年には別の教育機関であるÉcole spéciale des langues orientalesが設立され、1873年にこの二つの機関が合併し、国立東洋言語学校（École nationale des langues orientales）が誕生しました。

その後、1914年には国立東洋言語学校に改称され、1971年に現在の名称となりました。1984年まではパリ第3大学に所属していましたが、その後独立しました。最近では、2011年に新しいキャンパスがパリ13区に移転し、複数の施設が集約されています。

国際協力と交流

日本のさまざまな大学とも国際交流協定を締結しており、学生の派遣や受け入れが活発に行われています。具体的には、京都大学、東京外国語大学、上智大学、明治大学、立教大学、早稲田大学、慶應義塾大学などがあります。また、2024年6月にはソルボンヌ・アライアンスに加わり、人文・社会科学分野における共同研究や教育の発展に努める方針です。

学部構成と課程

院内は多様な研究分野を持ち、部門にはアフリカ研究、南アジア、東南アジア及び太平洋研究、アラブ研究、中国研究、日本研究、などが存在します。これらの部門では各地域の言語や文化に精通した専門家が育成され、国際的な学術交流が促進されています。また、ビジネスや国際関係、異文化コミュニケーションなどの課程も提供されており、学生は多様な視点から学んでいます。

このように、東洋言語文化学院は言語学を超えた幅広い知識と技能を提供しており、世界中の学生が集う活気ある学術の場となっています。

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