フランス委任統治領シリア

フランス委任統治領シリアとは

フランス委任統治領シリアは、第一次世界大戦後の1920年8月10日に締結されたセーヴル条約に基づき、オスマン帝国からフランスが委任統治を受けた地域です。この地域には、現在のシリアとレバノン、トルコの一部が含まれていました。

背景

オスマン帝国の領土が第一次世界大戦で敗北したことを受け、1918年11月には新たに占領下の領域が設定され、アラブの独立が支持されました。これにより、フサイン・イブン・アリーの子息ファイサル・イブン・フサインが率いるアラブ政府がシリアにおいて設立され、民意調査が希望されましたが、フランスはこの地域を自己的な勢力範囲と見なしていました。

フランスの影響と交渉

1919年、フランスとイギリス間で交わされた協定により、シリアに対するフランスの権益が確保されました。これに対してファイサルはアラブ地域の独立を訴えるも、フランスの姿勢は変わらず、住民の意向調査も目的を果たすことができませんでした。ファイサルの帰国後、シリア議会は独立を再確認するものの、フランスの軍事的圧力が伴いました。

独立宣言と反発

1920年3月8日、シリア議会は再度ファイサルを国王とする立憲君主制国家の独立を宣言しましたが、フランスは圧力を強め、最終的にファイサルを退位させ、シリアはフランスの委任統治領として確定しました。1920年には地域は大レバノン、ダマスカス国、アレッポ国、アラウイ自治地区に分割され、各地区には知事が任命されました。

委任統治領の変遷

その後、複数の国際会議を経て地域の政治的枠組みが整備され続けました。1925年にはアレキサンドレッタ自治地区が設立され、また1930年にはシリア国ではなくシリア第一共和国が成立しました。1934年からは独立交渉が進みましたが、フランスとの交渉は長期的な困難さを伴います。この過程では、1936年に大規模なストライキが発生し、独立の動きが加速していきました。

第二次世界大戦の影響

1940年にフランスがナチス・ドイツに敗れた後、シリアのフランス軍はヴィシー政権に同調し、イギリス軍との戦闘が展開されます。しかし、1946年4月17日にはフランス軍がシリアから撤退し、シリア共和国が正式に独立を果たしました。この過程を通じて、フランス委任統治領シリアの歴史は、民主主義的な独立運動や民族自決の権利を巡る激しい闘争の歴史として刻まれています。

参考文献と注釈

この議論に関する詳細な情報は以下の参考文献に基づいています。歴史的な文書からの引用や議論を通じて、シリアの委任統治下での複雑な政治状況や国民の反発について解説されています。小串敏郎著『東アラブの歴史と政治』や、山上正太郎著の『第一次世界大戦：忘れられた戦争』を参考にしました。

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