セーヴル条約

セーヴル条約の概要

セーヴル条約は、第一次世界大戦終結後の1920年8月10日に、連合国とオスマン帝国の間で締結された講和条約です。この条約は、パリ郊外のセーヴルで調印されたことからその名が付けられました。1918年10月30日に締結されたムドロス休戦協定を受けて、オスマン帝国の戦後処理を定めたものです。

この条約により、オスマン帝国は広大な領土を失い、その領土分割は帝国解体へとつながる大きな転換点となりました。しかし、条約の内容はオスマン帝国にとって非常に不利であり、その後のトルコ独立戦争や新たな条約締結へとつながる要因となりました。

条約締結までの経緯

条約の基本的な枠組みは、1920年4月のサン・レモ会議で決定されました。オスマン帝国政府（イスタンブール政府）のメフメト6世は条約に調印しましたが、ムスタファ・ケマルが率いるアンカラ政府（トルコ大国民議会）はこれを拒否しました。アンカラ政府は、ギリシャとの希土戦争に勝利した後、ソビエト連邦と独自の条約を結びました。これを受け、連合国は再び交渉を行い、1923年7月にローザンヌ[[条約]]を締結することになります。

条約の内容

セーヴル条約は、オスマン帝国に非常に厳しい条件を課しました。

領土の割譲:
東トラキア（イスタンブールとその周辺を除く）はギリシャ王国へ割譲されました。
小アジアのスミルナ地方は、ギリシャの行政下に置かれました。
マラシュ、ウルファ、アンテプ各州はフランスの勢力圏に、コンヤ・バルクエスィルを結ぶ線以南のアナトリア南西部はイタリアの勢力圏に編入されました。
国家の独立と自治:
アルメニアの独立が承認されました。
クルディスタン建国のための地域が定められました。
海峡の管理:
ボスポラス海峡とその周辺地域は、国際機関「海峡委員会」の管理下に置かれました。
軍備制限:
オスマン帝国の軍備は、5万700人以下に制限されました。
財政統制:
帝国の財政は、イギリス、イタリア、フランスの管理下に置かれました。
カピチュレーションの継続や外国人特権の復活も定められました。
アラビア半島の独立:
ヒジャーズ王国の独立が承認されました。
委任統治:
イラクとパレスチナはイギリス、レバノンとシリアはフランスの委任統治下に置かれました。
保護国化:
エジプトはイギリス、モロッコとチュニジアはフランスの保護下に入りました。

条約の影響とその後

セーヴル条約は、オスマン帝国の解体を進め、その領土が連合国によって分割されることを意味していました。しかし、アンカラ政府による抵抗と、その後のトルコ独立戦争の勝利により、この条約は事実上無効となりました。

ローザンヌ[[条約]]によって、現在のトルコ領土が確定しましたが、セーヴル条約で定められたクルディスタン地域の設置は実現しませんでした。この結果、クルド人は、イラク、トルコ、イラン、シリアの国境を跨いで居住することになり、現在まで続くクルド人問題の原因の一つとなりました。

関連条約

第一次世界大戦の講和条約:
ヴェルサイユ[[条約]] (対ドイツ)
ヌイイ[[条約]] (対ブルガリア)
サン＝ジェルマン[[条約]] (対オーストリア)
トリアノン[[条約]] (対ハンガリー)
その他:
サイクス・ピコ協定
ローザンヌ[[条約]]

外部リンク

条約全文
英語正文（The World War I Document Archive）
* 『セーブル条約』 - コトバンク

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